どうなる、こうなる近畿圏の鉄道網(前編)近距離交通特集(3/5 ページ)

» 2008年12月26日 10時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

大阪外環状線

大阪外環状鉄道の公式Webサイト

JRおおさか東線の概要

 JR東海道線の新大阪駅から東進し、吹田駅の南側で南へ曲がり、JR片町線の鴨野駅や放出駅を経由し、JR関西本線の久宝寺駅を結ぶ路線。新大阪駅付近を新線として建設する以外は城東貨物線を流用し、電化と複線化を実施する。建設主体は大阪外環状鉄道となっている。同社の出資者は大阪府、大阪市、東大阪市、吹田市、JR西日本など。

 大阪から伸びる放射状の路線を結ぶルート。1952年に発足した城東貨物線客車運行促進同盟会が起源である。1963年に都市交通審議会答申第7号に新設すべき路線として示された。当時はこのルートだけではなく、JR関西本線の八尾駅から阪和貨物線を経由してJR阪和線の杉本町駅までが対象となっており、ほぼ半円をなすことから大阪外環状線という計画名となった。その後もこの名称が使われたが、区間開業時に「おおさか東線」を正式な路線名とした。阪和貨物線は現在休止中で、JR西日本より廃止届が提出された。

JRおおさか東線の現状

 南側の放出−久宝寺間は2008年3月15日に開業した。北側の放出−新大阪間は2011年度末の開業を目指して工事中である。

 JRおおさか東線の北側は放出駅から鴨野駅まではJR片町線と併走し、鴨野駅から城東貨物線を複線電化する。吹田駅の南側、神崎川付近から西へ分岐する新線を建設し、梅田貨物線に合流して新大阪駅に至る。途中駅は新大阪側から西吹田駅、淡路駅、都島駅、野江駅の4駅だ。淡路駅で阪急京都線と千里線、野江駅で京阪電鉄本線と連絡する。南側区間と合わせると10路線に接続し、大阪都心部のターミナルへのアクセスを分散させる効果が期待されている。

 また、沿線では放出駅周辺地区土地区画整理事業、淡路駅周辺地区土地区画整理事業、東大阪新都心整備、大阪竜華都市拠点土地区画整理事業(久宝寺駅付近)などの再開発事業も行われており、これらの地域を結ぶアクセス路線としても機能する。

 北側区間は新大阪駅へのアクセス改善に大きく寄与する。実はJRおおさか東線沿線は新大阪駅に近いにもかかわらず、直接鉄道でアクセスできなかった。JRおおさか東線の全通によりアクセスが改善されるほか、JR関西本線、JR片町線から新大阪駅へのアクセスも容易になる。JR東海が「名古屋駅から新大阪駅までのリニア路線も自社負担で建設する」と表明したことを考えると、新大阪駅の重要性は高まる。同時にJRおおさか東線の役割も大きくなるだろう。

赤線は2011年度末開業区間、青線は既開業期間

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