どうなる、こうなる近畿圏の鉄道網(前編)近距離交通特集(2/5 ページ)

» 2008年12月26日 10時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 ここからは8号答申が挙げている順に、今後整備されるべき路線を「概要」と「現状」に分けて紹介していく。また、「現状」の部分では筆者の所感を多分に含んでいることをご承知願いたい。地図はGoogle Mapsより引用し、将来どのように鉄道が走るかを赤線で大まかに示した。

西大阪延伸線

阪神電鉄(梅田駅)

阪神なんば線の概要

 阪神電鉄西大阪線を都心方向に延伸し、近鉄難波駅と接続させる計画。開業時に阪神電鉄は西九条線を阪神なんば線に変更し、近鉄は近鉄難波駅を大阪難波駅に変更する予定だ。

 阪神電鉄にとっては大阪都心への2つめのアクセスルートとなる。阪神電鉄の難波駅乗り入れは、1946年に野田駅から新線を建設する形で特許出願された。しかし大阪市の反対で頓挫。次は1948年に路線を変更して特許を再提出した。この時のルートは尼崎駅から分岐する伝法線(現西九条線)を西九条方面へ延伸し、さらに近鉄が建設予定の難波駅に接続する計画だった。これが阪神なんば線の原型である。

阪神なんば線の現状

 2009年3月20日に開業予定である。

 西九条線開業は1964年、近鉄難波線は1970年に開業した。しかし、その間の区間は沿線の反対や用地買収が難航していたことから停滞していた。ところが1997年に大阪ドームが開業すると、西九条線延伸計画が見直されることとなる。

 しかし、阪神電鉄単体での延伸は資金的に厳しいことから、延伸区間の建設にあたっては第三セクターの西大阪高速鉄道を設立した。同社には阪神電鉄、大阪市、大阪府などが出資している。大阪市はかつて市内の私鉄乗り入れに反対していたが、支援に転じた理由は市営の大阪ドームの経営改善に期待したためだろう。いずれにせよ、阪神電鉄にとっては1946年の初出願以来、63年の悲願が実ることになる。

 開業後は阪神なんば線と近鉄難波線の相互乗り入れが行われる。現在公表されている相互乗り入れ区間は最長で阪神三宮駅−近鉄奈良駅である。しかし 近畿日本鉄道の小林哲也社長は12月11日の記者会見で、「最終的な目標は姫路と奈良や伊勢志摩を結ぶ」と表明している。

 阪神電鉄は神戸市で神戸高速鉄道を介して山陽電鉄に直通しており、実現すれば近鉄−阪神−神戸高速−山陽電鉄の4社相互直通運転が行われることとなる。また、同会見では近鉄の特急サービスの抜本的な見直しについても触れており、姫路−神戸−大阪−奈良・伊勢志摩の観光特急の可能性も示唆している。

赤線が延伸区間、青線が阪神西九条線

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