本のことは100円ノートにまとめなさい! 奥野宣之氏の“読書術”ベストセラーの著者が語る(1/3 ページ)

» 2009年01月13日 07時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「あれ? 以前この本を読んだけど、どんなことが書いていたかなあ」――。2〜3日前に読んだ本ですら、どんなことが書かれていたか、思い出せなかったことがある人も多いはず。

 そこで気になったくだりに線を引っ張ったり、ページに付箋(ふせん)を貼ったりして、なんとか記憶に残そうと工夫している人もいるだろう。それでも書いてあった内容を忘れてしまうため、「自分は記憶力が悪いからなあ」と、あきらめてはいないだろうか。

 「本の内容が思い出せない」「あのくだりをもう一度読み返したい」などで困っている人に、29万部のベストセラー『情報は1冊のノートにまとめなさい』の著者、奥野宣之氏が“読書術”に関する本を刊行した。それが『読書は1冊のノートにまとめなさい』。大阪に住む業界紙記者が編み出した読書術とは、どんなものなのだろうか。奥野氏に話を聞いた。

なぜ奥野氏は1冊のノートを持ち歩くようになったのか?

読書は1冊のノートにまとめなさい』の著者、奥野宣之氏

 学生時代はノートをとるのが苦手だったという奥野氏だが、現在ではいつも1冊の小さなノートを持ち歩いている。A6判――つまり文庫サイズのノート1冊にスケジュールやアイデアメモなど、なんでも順に書いていく。使い終わったら、また1冊100円ほどで購入できるノートに代えるというシンプルさだ。

 なぜ奥野氏は、“ごちゃまぜ”にしたノートを作っているのだろうか。「大学3年生のとき『就職活動を行うのに手帳が必要だ』と実感したのです。それまで人生において、アポらしいアポはなかった。しかし就職活動を始めると、面接や会社訪問などでスケジュール管理をしなければなりません。それで手帳を買いに行ったのですが、気に入ったのがなかったのです」

 そして手帳をあきらめた奥野氏はリングメモを購入し、スケジュール管理だけではなく、会社の志望動機などをまとめたりして、書き込んでいった。ただポケットに入れて持ち運びたいという思いから、A6判のノートに変更した。やがて通し番号を付けるようになり、現在使い終わったノートは200冊を超えている。

5段階に分ける読書術

 奥野氏は自分のことを「記憶力は悪いほうです」と分析する。実は同じ本を買ったことが何度もあり、同じくだりに線を引っ張っていたり、同じページに付箋を貼っていたこともある。またそのことに気付いたのは、本を読んでから1年も経過したときのことだった。

 「さすがに凹みましたね。しかし人間の……というか自分の記憶はあてにならないことが分かりました」。そして読んだ本の内容を忘れるのは仕方ないが、必要なときに「取り出せるようにしたい」という思いから、100円ノートに書き込んでいくことを始めたのだ。

 多くの人は本を(1)探す・買う、(2)読む、(3)読んだあと、読みっぱなし――という3段階で済ませるだろう。しかし奥野氏は(1)探す、(2)買う、(3)読む、(4)記憶する、(5)活用する――と5段階に分けている。順を追って見ていくと、(1)の段階では新聞広告や書評などから、読みたい(買いたい)と思う本をリストアップする。このリストアップを作っていれば「読みたい本にめぐり会えることが多いのです。情報に敏感になり、またいろいろなジャンルに興味が広がり可能性があります」という。

メモに購入する本をリストアップ(左)、書斎には100円ノートがズラリと並ぶ(右、クリックして拡大)

 そして(2)買うでは、リストに書いてある本を見ながら書店で本を買うだけ。もちろんゆっくりと書店で本を吟味するのも、本探しの楽しみの1つ。しかし「書評で紹介されていた本のタイトルは何だったかな? と忘れてしまうこともあります。また書店の中をウロウロして本を探さないといけないので、落ち着いて本を買うことができないのです」。ちなみに奥野氏は目的なく書店に足を運ぶことはなく、いつもリストアップされたメモを見て本を買う。

 奥野氏はリストアップすることの最大のメリットをこのように説明した。「書店に行けば、本の広告がたくさん貼っています。しかしそういった広告に左右されず、自分が“主導権”を持って、本を選ぶことが重要なのです」

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