さて。独占的シェアを持つ爽健美茶と、スターに育ったからだ巡茶の、「日本コカ・コーラ無敵タッグ」に挑む「潤る茶」であるが、勝算はあるのだろうか。
チャネル営業に力を入れたと見え、棚を3フェイス確保していた。仲間由紀恵のCMも大量投入していることから、認知度は向上しているだろう。
だが日本コカ・コーラは、どんな挑戦者も許さない構えのようだ。
潤る茶がコンビニ標準価格の147円なのに対し、爽健美茶には125円のキャンペーン価格が設定されていた。競合商品のリニューアルの出鼻をくじく戦略だと考えられる。
この価格戦略は絶妙だ。いくらCMを大量に投入し、認知度を向上させても、最後に手に取らせて買わせなければ意味がない。
消費者の購買決定プロセスを説明するAIDMAモデルで見てみよう。「仲間由紀恵」×「潤いの表現」で、Attention(認知)・Interest(関心)ぐらいまでは行くだろう。「ミネラル・ビタミン・コラーゲン」が摂れるといわれれば、飲んでみようかなと思って記憶に残るかもしれない。Desire(欲求)・Memory(記憶)だ。
しかし、読者の皆さんもご経験の通り、飲料などの場合、最後の最後に、店頭で「やっぱりこっちにしよう!」とAction(購買行動)がすり替わってしまうことも少なくない。
心変わりを起こさせるために、1番簡単な方法が値引きだ。リニューアルしたての潤る茶は値引きでスタートしたくない。痛いところを爽健美茶は突いてきたわけだ。
手立てがないわけではない。例えばプレミアム賞品をボトルネックに付けたり、その場で賞品や賞金の当選が分かるインスタントウィン型のシールを本体に貼るなどの方法だ。リニューアル記念とすれば期間限定だし、意味も明確になる。
個人的には「うるる」という名前で、パッケージの「しずくの形」を見ると、ダイキン工業のエアコン「うるるとさらら」と、そのキャラクターの「ぴちょんくん」を連想してしまう。ダイキンとコラボレーションして、「潤る茶ぴちょんくん」のプレミアムを作り、ボトルネックに付ければよかったのではと思ってしまう。13種類の素材にちなんだ、13種類のぴちょんくん。筆者なら集めてしまいそうだ。
製品にとっては消費者の審判を受ける場所である店頭。特にコンビニはPOS管理され、売れ行き次第では棚のフェイスは減らされ、最終的には置いてもらえなくなるという厳しい世界だ。
強大なリーダーに挑む「潤る茶」にエールを送りつつ、その戦い方を今後もウォッチしてみたい。
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