“ネットと政治”を考える(後編)――ネットユーザーが選挙でやれることとは?(4/9 ページ)

» 2009年05月05日 07時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

なぜ若者は選挙に行かないか

 ネットがメディアを超えるという話の中で「サイレントマジョリティをいかに巻き込んでいくかが大事だ」という話がありました。投票率は若い世代ほど低い現実があると思うのですが、佐藤さん、インターンシップに参加する学生たちは今の政治をどう見ているのでしょうか。

佐藤 2005年の衆議院議員総選挙の全体投票率は67.51%でしたが、20代の投票率は40%台です。

衆議院議員総選挙の投票率推移(中選挙区・小選挙区、出典:明るい選挙推進委員会)

 インターンシップで国会議員の事務所にお邪魔させていただくことの1つの大きな意義は、一次情報に触れるということです。他人の手を介した情報を受け取るのではなくて、議員から直接声をかけていただくとか、目の前で政策討議がなされている場に身を置くとか、それを通じて自分が考える機会をもらうということです。

 お二人の議員を前にして失礼なのですが、ほとんどの学生は「こんなに一生懸命にやっているんだなあ」と驚くんですよ。まず学生が何に驚くかというと、(議員は)忙しいですよね。朝から晩までずっと仕事をしている。これは本当に誤解されています。テレビや新聞などのマスメディアを通して学生に伝わってくる(政治の)情報は、やはり不祥事やスキャンダルといったことが多いです。

 当たり前のことを言いますが、(不祥事やスキャンダルは)珍しいからニュースになるのです。珍しいからニュースになるのですが、そればかり報道されるからいつも悪いことをしているような印象を(学生が)持ってしまっている。年配の方よりも若者の方が社会経験が少ないので、スキャンダルの報道が大きな影響を与えて、(政治に)悪い印象を持つようになってしまっています。

 投票に行かない理由ははっきりしていて、候補者の中に知り合いがあまりいないからです。居酒屋を経営している私の父母は政治のことは何も知りませんが、知り合いの知り合いくらいまでたどれば、候補者がいっぱい出てきます。すると「どの人に入れようか」ということが身近に感じられますが、若い人だと「候補者に知り合いはいないし、知り合いの知り合いもいないし」ということで投票に行かないというのが大きな理由なのではないかと思っています。

 大学生にはブログをやっている人が多くて、これは議員のお二人にお聞きしたいと思っているのですが、僕は複数の議員さんから「ネットはいい。特にブログはいい。良いことを良いと書いてくれてすごくうれしい」というようなことを聞きました。マスメディアは政府行政に対するチェック機能という役割を持っていて、賛辞を送りにくい立場ということは重々承知ですが、それにしても批判記事や批判報道が多い。そんな中、ブロガーの方々は良いことを言ったら「良いことを言ってくれた。僕もそう思った」と書いてくれてとてもうれしい、ということです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.