著者プロフィール:中村修治(なかむら・しゅうじ)
有限会社ペーパーカンパニー、株式会社キナックスホールディングスの代表取締役社長。昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。
何年ぶりだろう。先日、東京出張の際に、新宿西口の喫茶室「ルノアール」を利用させてもらった。打ち合わせまでの時間潰しで入っただけなのだが、なぜか、すごく落ち着いた。スターバックスの成長が鈍化する中で、おなじみ喫茶室ルノアールに伸びしろがある気がした。
東京に住む人なら誰もが目にしたことがある喫茶室「ルノアール」。スタバなどの欧米スタイルのカフェ隆盛の中、「残念な喫茶店」の様相を呈しているかと思いきや、ルノアールを経営しているのは、株式会社銀座ルノアールというれっきとしたジャスダック上場企業。コーヒーチェーン業界としては日本で初めて、「ドトールコーヒー」よりも先に株式公開を成し遂げた会社なのである。
直近の決算短信によると平成21年3月期の連結売上高は、58億3100万円。前年比2.4%増であるから、この不況期にも大健闘である。主な事業は、喫茶等事業。喫茶店112店舗を首都圏中心に展開。内訳は、おなじみ喫茶室ルノアールが、85店舗。カフェスタイルの低単価コーヒーを提供するニューヨーカーズ・カフェが、12 店舗。個室スタイルのカフェ・ミヤマが、9店舗。カフェ・ルノアールが、6店舗。2008年には、5店舗を新規オープン、既存の店舗10店をリニューアルオープン。その店舗のすべては、フランチャイズ方式の出店を行わず直営店方式による展開で、多様に市場に応えている。決して「残念な喫茶店」を運営する、「残念な企業」ではない。経営方針が明確な優良企業だ。
喫茶室「ルノアール」は、決しておしゃれではない。若い人達から見れば「オヤジが入る喫茶店」だろう。冷たい水と一緒に出された、分厚いタオル地のあったかいおしぼりで手をふき、かぁーっと顔を拭く。でも、それが許されているのが、喫茶室「ルノアール」だ。だから、オヤジくさいサラリーマンがたくさんいる。仕方ない。
しかし、隣のヒトがオヤジ臭くても、席と席の間がゆったりとられている贅沢スペースだから、あまり気にならない。自分で、コーヒーのお運びをしなくてもいい。コーヒーのサイズなんて聞かれたりしない。店員さんのサービスも行き届いている。コーヒーを飲んでしばらくすると、お茶が出てくる。メニューも難しい名前のものがない。いたってシンプルで、そこそこうまい。
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