「カリスマトレーダーがいくらもうかった」など最近話題の外国為替証拠金取引(以下、FX)ですが、外貨預金と比べてどちらがもうかりますか?
(1)FXの方がもうかる。
(2)外貨預金の方がもうかる。
(3)どちらとも言えない。
もうかる情報は目に付きますので、「自分もやればもうかるかも!?」と思いがちですが、世の中に必ずもうかる商品などありません。しかもFXは外貨預金と同じ「通貨」という商品を対象にしていますので、投資家が取るリスクあたりのリターンは同じなのです。ですから、もうかる? もうからない? という問に対しては「どちらとも言えない」が正解です。
では、FXは外貨預金と何が違うのでしょうか。それは、投資する額に対して投資家が準備する元手が少なくて済むという点です。
外貨預金の場合、1万米ドルの投資に対して100万円(1米ドル=100円の場合)を用意する必要があります。対して、FXはその取引を決済する時に価格変動分だけを受け渡せばよい(差金決済)ことになっています。つまり、1万米ドルの投資に対して1ドル100円から1ドル90円に10円の円高に動いた場合には差損益の10万円を決済時に受渡せば良いため資金の効率性が高いのです(簡単のため手数料などを考慮していません)。
とはいっても、取引開始時に担保も何もなしでは取引相手は決済をしてくれるか心配です。そこで、あらかじめ証拠金が必要となるのです。証拠金は取引開始時に預ける金額がFXの取引業者ごとに決まっています。証拠金に対して、取引する金額を数倍にすることが可能となり、これをレバレッジ(てこ)倍率と呼びます。
為替相場が変動しもうかったり、損をしたりするリスクについては、レバレッジ倍率によって変化します。少ない元手で大きな資金を動かせる(レバレッジが高い)ということは、投下した資金に対してもうかる額と損をする額の振れ幅が大きくなるということです。もうかる方向だけを見るのではなく、常に損失の可能性を認識しておく必要があるでしょう。
なお2009年5月、金融庁はレバレッジ倍率の上限を25倍に規制する案を発表しました。過度に高いレバレッジで取引を行うと、投資家が想定以上の損失を被る可能性があるためです。レバレッジの規制が行われると、現在レバレッジ100倍で取引を行っている投資家は4倍の証拠金が必要となります。また、売買数量が減少することにより、取引業者の収益が減少するため、売買スプレッドや顧客が支払う手数料などのコストが上昇する可能性もあります。(ソニー銀行・國津雅央)
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