ちきりん で、また転職することに?
上杉 鳩山邦夫事務所を辞めたのはいいですが、僕はものごとを考えずに突っ込んでいくタイプ。なので次に働く場所がなく、職業安定所に通い始めることに。
しばらくして日本の通信社と大手新聞社の採用試験を受けようとすると、「君は記者としての経験がない」と言われてしまった。NHKの経験は3年に満たなかったので、僕は“経験者”ではなかった……。ということで学生と一緒に、もう一度就職試験を受けたんです。
そして最終面接までいけたのが、朝日新聞と北海道新聞。けど面接で「君は鳩山邦夫事務所で働いていたので、“色”が付いているからダメ。記者として、公平さの部分に欠けてしまう」と言われ、2つとも落とされてしまった。
「自分は日本のメディアで働くことはできないのか」と考え、ニューヨーク・タイムズを受けることに。すると支局長に「インターンをしながら3カ月間、働いてくれ」と言われた。その後、2つのスクープを取ったこともあり、1カ月半後に支局長から「ウチで働かないか?」と誘われたんです。
だけど、僕はその席でこう言いました。「自分には“色”が付いている。そのためメディアで、働くことはできなかった。それでもいいのか?」と。すると支局長は「何言ってるんだ? 色が付いているから、君を採用するんだ。もし君に色が付いていなければ、採用はしない」と言ってくれました。
ちきりん 上杉さんはジャーナリストとしてメディアの世界にいたり、政治家秘書として政治の世界にいたり、“いったりきたり”していますね。
上杉 米国では政治とメディアが同じ位置関係にあるので、人材がRevolving door(回転ドア)のようにいったりきたりしています。しかし日本では「政治が上、メディアが下」という認識が強く、人材が政治にもっていかれていますね。
現在、政治記者出身の政治家というのは40人ほどいますが、逆に政治の世界からメディアに来たという人は少ない。僕のように現場で取材をしているのは、たぶん1人だけではないでしょうか。
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