グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。
※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年7月17日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。
1960年に「のりたま」を発売して以来、「“ふりかけ”といえば丸美屋」というポジションを獲得している同社だが、来月発売が予定されている新商品、「納豆ごはん専用ふりかけ」はかなりチャレンジングな商品だ。
今回の商品に先駆けて、丸美屋は今年2月、「たまごかけごはん専用ふりかけ」を発売している。たまごかけご飯といえば、昨今世界にまでその名が紹介され、すっかり日本のソウルフードとして定着したようだ。YOMIURI ONLINEの記事「卵かけご飯 熱々(参照リンク)」によれば、島根県旧吉田村の第3セクター「吉田ふるさと村」が2002年春に売り出したたまごかけご飯専用しょうゆ「おたまはん」が爆発的に売れ、ブームに火がついたという。
2005年には同地で「たまごかけごはんシンポジウム」が行われ、全国各地にたまごかけご飯専門店も登場。岡山の専門店では、年間7万食もの売上げを記録したとメディアが報じていた。ブームに乗って、たまごかけご飯専用しょうゆも相次いで発売され、その数は優に50種を超えるといわれている。
丸美屋はふりかけ屋だ(……と言い切ってしまってはほかの商材もあるので失礼だが、一消費者として考えると、そう見えてしまう)。
白いご飯という広大な大地が広がっていなければ、ふりかけの入り込む余地はない。卵かけご飯がブームになった時には肝を冷やしたに違いない。何しろ、多くの人が、ふりかけではなく生玉子で白いご飯を覆いつくしはじめたのだから!
しかし、幸いなことに、ブームは専用しょうゆを生み出すに至った。「醤油をふりかけで代替させる」というアイデアを思いつくのに時間がかかったのか、開発が大変だったのか、ブームから5年目にして発売された「たまごかけごはん専用ふりかけ」は遅すぎるくらいである。
たまごかけごはんブームは現在も続いており、専用しょうゆもさらに銘柄を増す中、丸美屋のチャレンジは、その専用醤油をふりかけで代替させようというものだった。同社ホームページの商品説明では、「しょうゆのかわりにまぜるだけ」という使用方法が紹介されており、明らかに「しょうゆではなくふりかけで味付けを」という提案である。
しかし、今回の「納豆ごはん専用ふりかけ」は、先の「たまごかけごはん専用」の延長線上にあるかといえば、実は微妙に違う気がする。ビミョ〜に。
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