ちょっと意地悪な「正しい会社の辞め方」10カ条(1/2 ページ)

» 2009年09月08日 08時00分 公開
[荒川大,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:荒川大(あらかわ・ひろし)

株式会社ENNA代表取締役。「人的リスクマネジメント」をキーワードとして、内部統制対応の人事コンサルティング、IT統制対応の人材派遣、メンタルヘルスのカウンセリングを提供している。


 2009年は内部統制元年となります。上場企業は、事業運営に関わる全ての法令・判例・政令に対して、適法に業務を遂行していることを「証明」する義務を負います。そのような環境において、会社を辞める際に気をつけていただきたいことを10個まとめました。

 ただし、以下の効力が十分に発揮できるのは「正社員(正規雇用社員)」です。その点を踏まえてご理解下さい。

1.退職を決めたら、自分の労働時間を再計算すること

 日本国内のサービス残業は5兆円規模になるとの統計データがあります。このサービス残業を全廃して、余剰な労働時間を新規雇用にあてると100万人強の雇用創出になる計算になるそうです。マクロ的観点から考える雇用創出法は、残業代の100%アップなのかもしれませんね。

 サービス残業は労働基準法に反する違法行為です。ということは「労働債権」になりますから、過去2年間の労働時間分は請求が可能です。労働者の権利として取り戻すことも1つの方法です。

 ただし、管理職は請求が難しいため、自分が厚生労働省の定める管理職に相当するかのチェックが必要です。また請求する際には、労働基準監督署や弁護士と相談する必要があります。計算したからといっていきなり会社に掛け合うことのないように。

 手帳や自分が会社から送ったメールを全てひっくり返して「●年の●月●日は何時間働いたか」を思い出してください。虚偽の申請は会社に対する背任行為ですから、あくまでも真実を追究しましょう。

2.ハラスメントや解雇に関連する会話や暴言は録音すること

 公益通報者保護法に基づいて考えると、録音そのものの行為を罰することはできません。罰せられるのは、録音データを労働問題や犯罪取り締まりを所管する官公庁「以外」に公開した場合です。

 紛失してしまったり、PtoPで流出した場合も罰せられるでしょう。機密情報の漏洩という犯罪行為になります。ですので、データ管理は慎重に行わなければなりません。

3.自分で訴えようとか、会社に掛け合おうとしないこと

 会社に対する是正措置の要求や是正勧告は、それなりの公的な組織が行わなければ、やり方を間違うと「会社に対する脅迫」とされる可能性があります。

 そこで、録音したものや撮影した証拠を持って、厚生労働省や労働基準監督署、警察や弁護士に相談し、彼らに対応してもらう必要があります。「会社に愛着があるから、外部に漏洩することなく自分でやる」という考えは捨ててください。解雇されそうであれば、是正させる側のスペシャリストに頼りましょう。

 企業内の情報ですから、企業組合であれば相談は可能ですが、企業外の独立した労働組合への相談は控えていただいた方が良いかもしれません。

4.転職先が決まるまでは、格好が悪くても会社を辞めない

 雇用が不安定ですから、次の会社の「雇用条件提示書」が発行されるまでは、格好悪くても、嫌でも、イライラしても残っていてください。

 労働基準法は、日本国憲法第22条を補足する形で戦後すぐに制定された法律です。当時の時代背景を反映して、雇用と業績は相容れないものということで、労働者の賃金は労働時間と連結させるように定められています。会社にいる限り、減らされることがあっても、必ず支払われなければならないものが賃金です。何を言われても、暇でも、勤務時間を過ごせばお金になります。これはかなり大切なポイントです。

5.就業規則の「解雇要件」について確認する

 就業規則に書いていないことは、社員に求めることはできません。解雇規定が無かったり、解雇の条件が懲戒事項のみとなっている場合には、解雇が無効になることがあります。自分の勤めている会社の就業規則を再度確認してください。

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