インタビュー
» 2009年10月30日 08時00分 公開

欧州パッケージツアーはどのように“仕掛け”られているのか?――クオニイ・ジャパン 松日樂優紀さん(前編)あなたの隣のプロフェッショナル(3/6 ページ)

[嶋田淑之,Business Media 誠]

ランドオペレーターの知られざる日々

 まず、海外パッケージツアーはどのようにして作られるのだろうか?

 「(冒頭にもあったように)日本の旅行会社から弊社に対して、日本の最新の市場ニーズを踏まえた新しい旅行プランのアウトラインが提示されます。それを、現実的なプランとして具現化するのが弊社の役目なので、弊社スタッフが提案してくださった旅行会社の方と一緒に現地に飛んで、リサーチをしたりするわけです。

 そうしたランドオペレーターとしての弊社の立場もあってでしょうが、欧州の観光地の方々がプロモーションに来られることもしばしばあります。要するに、弊社が企画するパッケージツアーに組み込んでほしいということですね。例えば、パリのヴェルサイユ宮殿の営業担当者やスイスの鉄道会社の営業担当者がいらしたりします」

 熟年層を多く含む日本人向けツアーということで、プランニングに当たって特に配慮する点は何かあるのだろうか?

 「食事にはとても気を遣います。例えば、10日間のツアーなら、一度は日本食や中華料理を組み込むようにしています。特に年輩の方はどうしても慣れ親しんだ味が恋しくなることが多いので、そこで出てくる日本食や中華料理は『ホッとする味』となるでしょう。実際、私がスイスに視察に行った際にも、毎日スイス料理続きだった中で出てきた日本食に、お客さまがとても喜ばれていたのを覚えています。

 でも、逆のケースもあります。

 以前、オーストリアに視察に行った際、現地のレストランが私に気を利かせて、『日本人向けメニューだ』と言ってサーモンのグリル&ライスといったメニューを用意してくれたのです。盛り付けは洋風でも、それって要するに塩鮭の切り身とご飯ですよね(笑)。

 そのレストランは欧州最古の格式高いレストランで、さらにモーツァルトの楽曲の生演奏(弦楽四重奏など)を聴きながらディナーをいただくというところです。そのため、欧州の伝統的な雰囲気の中で、和風料理が出るのはあまりに違和感がありました。そこで、『心遣いはとてもありがたいですが、ここでは日本人のお客さんも本場の味と雰囲気を期待されているので、ここの名物料理の方が喜ばれます』と担当者に伝え、理解してもらいました」

 それだけ視察しているということは、松日樂さんは欧州各国の名物料理に相当精通しているのだろうか?

 「各地域の名物料理にはとても詳しくなりました。オーストリアでは『ターフェルシュピッツ(牛肉の煮込みのアップルソース・タルタルソース添え)』、あるいは『ヴィーナーシュニッツェル(ウィーン風子牛のヒレ肉)』、ハンガリーでは『グヤーシュ(牛肉やタマネギ、パプリカなどから作られるシチュー料理)』、イタリアでは『サルティンボッカ(生ハム料理)』『オレキエッテ(ショートパスタ)』、ベルギーでは『ワーテルゾーイ(鶏肉入りクリームシチュー)』、そしてスイスでは『フォンデュ』『ロシティ(じゃがいもを使った家庭料理)』などなど……。食事は旅の楽しみの1つなので、口に合うかどうかは別にして、積極的に試していただきたいです」

『フォンデュ』

 そうした各国の名物料理に対するお客さんの実際の反応はどうなのだろうか? お客さんから感謝されることがある一方、当初の意図とは異なる結果の場合もあると想像されるが。

 「過去のアンケートなどを参考にして、『このレストランのメイン料理は塩辛かった』『味が薄い』『量が少ない』『肉が硬い』など、まとまったご意見をいただいた場合には、レストラン側に要望を伝えて、改善策を講じたりしています」

 さて、ここで松日樂さんがどんな日常を送っているか1日の流れを追ってみよう。

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