インタビュー
» 2009年10月30日 08時00分 公開

欧州パッケージツアーはどのように“仕掛け”られているのか?――クオニイ・ジャパン 松日樂優紀さん(前編)あなたの隣のプロフェッショナル(6/6 ページ)

[嶋田淑之,Business Media 誠]
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世界基準のカレンダーを常に意識

 いかに欧州各国の情報に精通しているとはいえ、現地ではなく遠い日本から各種手配を行うというのは、現実にはさまざまな困難を伴うように思われるが、特にどういう点に留意して日々、業務に取り組んでいるのだろうか?

 「『行程の時間配分チェック』のところで触れたことと関連しますが、この業務でとりわけ留意すべき点は、世界基準のカレンダーを常に意識する必要があるということです。

 どんな国・地域にも、現地特有のカレンダーが存在します。祝祭日が日本と異なることは言うまでもありませんが、特定の国・地域では、週末になるとショップやレストランが軒並み閉まってしまうとか、要人の訪問やワールドカップなど大きなイベントの開催に伴って一定の日時、一定の地域で、交通が規制されたり、ホテルやレストランが一杯になったり、美術館やお城などの観光スポットの閉館日が変更になったりといった、現地特有の事情が数多く存在します。

 そういう情報を1日でも速く正確にキャッチして、旅行プランに反映させていく必要があります。例えば、ツアーの最終日に予定されていた観光スポットが、行ってみたらなぜか閉まっていた、などということになれば取り返しはつきません。それを楽しみにして参加されたお客さまの期待を壊してしまうことになりますから」

旅のプロとしての誇りと自負

研修旅行中の1コマ

 松日樂さん自身が現地に飛んで、問題点を探るということはあるのだろうか?

 「私は研修と視察を兼ねて、1年目にはオーストリア・ハンガリー・チェコ・スロバキアへ、2年目にはスイス(+フランス・シャモニー)に行きました」。

 実際にそうしたツアーを視察してみての感想は?

 「一番の収穫は“お客さまの生の声”を聞くことができたこと。普段はエンドユーザーであるお客さまに対面することはないので、行動をともにし、すべての反応を間近に見ることができたのはとても勉強になりました。

 ツアー内容については、もちろん細かい改善点はあるにしても、全体としては、手前味噌のようになりますが、効率的にそして安心して回れるという点で良かったと私は思いました。やはり、個人ですべて手配して旅をするよりも、いろいろな意味で『お得』です。

 先日、大学時代の教授に会った際、言葉には不自由せず、旅慣れた人であるにもかかわらず、『個人で行くよりも圧倒的に安上がりで、限られた時間の中で効率よく旅することができてよかった』と言われ、パッケージツアーの意義を改めて実感した気がしました」

 松日樂さんの親族も、最近、彼女の担当するツアーでスイスに行って、とても喜んでくれたという。

 どんな業界でも言えることだが、業界の裏事情を知っているがゆえに、自分が大事だと思う人々には決して自社商品を買わせなかったり、自分も絶対に買わなかったりする……ということがある。しかし、松日樂さんは、自分たちが丹精込めて作り上げた自社の商品だからこそ、自分が大事に思う人々に積極的に勧めている。筆者は、そこに旅の専門家としての彼女の誇りと自負を垣間見たように感じた。

 松日樂さんはなぜ今の仕事を志し、そしてどのような経験を積んできたのだろうか。また、今後はどのような形で活躍の場を切り開いていこうとしているのか。展望などを聞いてみたい。(後編に続く)

嶋田淑之(しまだ ひでゆき)

1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」「43の図表でわかる戦略経営」「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。


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