インタビュー
» 2009年10月30日 08時00分 公開

欧州パッケージツアーはどのように“仕掛け”られているのか?――クオニイ・ジャパン 松日樂優紀さん(前編)あなたの隣のプロフェッショナル(4/6 ページ)

[嶋田淑之,Business Media 誠]

松日樂さんの1日に密着――午前はツアーレポートに対応

 東京・大崎のオフィスに出社するのは9時30分。

 「すぐにPCを開いてツアーレポートのチェックをします。ツアーレポートというのは、今、自分が担当しているツアーに関して、旅先で何か問題が発生していないか、順調に進捗しているかを現地から報告してくるものです」

 開く瞬間は、ちょっとドキドキなのでは?

 「正直、そうですね(苦笑)。といっても、順調に進ちょくしている時は、1件も入ってない日もありますし、多くても10件くらいです。お客さまからのクレームもありますし、そうではない一般的な報告もあります。“一般的な”というのは例えば、ツアーで立ち寄る予定の観光地やレストランなどへの確認依頼などですね」

 クレームにはどんなものが?

 「ホテルにチェックインした後、『シャワーが出ないから部屋を替えてほしい』という要望が出たもののホテルは満室だ……といったもの。あるいは、レストランの予約が入っていなかったとか、予定されていた料理と違うものが出てきたとか……。あとは、お客さまの病気・事故・盗難といった突発的な事態の発生などですね」

 そういうレポートはどういう手順を経て、松日樂さんのもとに届くのだろうか?

 「日本の旅行会社に所属するツアーの添乗員さんから、クオニイの現地オフィスにまず連絡が入り、それを踏まえて現地スタッフから私に報告が入るという流れです。現地スタッフが対応して話がすでに完結していることも多々ありますが、それが不可能だったときは日本サイドの指示を求めてきます。その報告を受けて私たちが具体的な方策を講じ、それをお客さまである代理店へ連絡するわけです」

同僚との打ち合わせ

 そうだとすれば、松日樂さんへのツアーレポートの内容がどのようなものになるかに関しては、ツアーの現場にいる添乗員の性格や判断力などが大きく影響するのではないだろうか?

 「確かに添乗員さんのキャラクターと無縁ではないと思います。ですから、実はツアー出発直前の、添乗員さんとの打ち合わせがとても重要になります。

 弊社としてはツアーのパッケージを商品としてすでに日本の旅行会社さんに納品してあるわけですが、現地の最新情報に通じているベテランの添乗員さんがご覧になると、『ここはもっとこうした方がいいんじゃないか?』みたいなご意見、ご提案があったりします。

 もちろん弊社としては、綿密なリサーチの上で自信を持って練り上げたプランのわけですから、こうした直前打ち合わせで十分なコミュニケーションを図って、納得づくで出発していただくことがとても大切になります」

 緊迫した空気が漂うことが想像される打ち合わせだが、添乗員さんの「現場の意見・要望」というのは、その時点で、どの程度生かされるのだろうか? あるいは生かされないのだろうか? 

 「現場の貴重なご意見なので、内容によってはツアープランに反映させていただきます。とはいえ、出発直前でのプランの修正ですから、こちらとしては現地への手配がかなり難しい場合も出てくるわけです。でも、それをやるのが弊社の仕事です」

 そうやって出発したツアーの途上で不幸にして発生したトラブルなどに関して、松日樂さんが現地あてに指示・伝達した対応策で100%解決するのだろうか?

 「中には、長引くケースもあります。きちんと対応させていただいたつもりでも、(欧州側の謝罪の仕方に納得がいかず)お客さまから『誠意を見せろ!』というおしかりをいただいたことがあります。しかし、『誠意』という考え方は日本独特なもの。現地の人たちにはその重要性をなかなか理解してもらえず苦労しました。

 そうした文化的なギャップのために、なかなか話がかみ合わないというケースがあります。私たちは常にそのことを意識して仕事をしなければいけません」

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