「先行きが不透明なご時勢だから、せっせと貯めている」とは姪の弁。確かに彼女の言い分は正しい。ただ、筆者のようなバブル世代の目からみると、職場と自宅の往復ばかりでは「人生がつまらない」と思うのだが。「今は仕事が面白い。趣味やレジャーではなく、仕事に没頭したい」。冒頭に登場した編集者や親戚の若手世代は口をそろえてこう語る。だが、過酷なサラリーマン生活を送った先達として、「会社(仕事)は守ってくれない」と強調したい。
先に触れた通り、筆者は記者時代に猛烈な残業を長年強いられた。もちろん、遊びと同様に仕事も人の倍はこなしてきた自負もある。が、会社の上司や同僚に何度もハシゴを外され、会社は個人を守ってくれないことを体で覚えさせられたクチだ。このようなタイミングでは、レジャーや友人連に目を向けることで精神のバランスを保つことができた。
なにも借金してまで酒を飲め、遊べと勧めているのではない。せっせと貯める中からほんのちょっとだけカネを割き、料理のウマい居酒屋を探したり、格安のビジネスホテルを使って旅をするだけでも、新たな人との出会いや自身の知らない一面を知る機会があるのだ。齢40を過ぎても、筆者は酒や旅、レジャーという要素を欠くつもりはない。若い世代の豊かな感受性をもってすれば、筆者が感じる何倍もの驚きや新たな発見をすること請け合いだ。
「あんたらバブル世代のおかげで景気がおかしくなった」――。読者の中からはこんなお叱りの声が聞こえてきそうだが、筆者は新ニッポン人の諸君に積極的にお金を使うよう進言したい。バブル世代の戯言と受け取られても構わない。同様のテーマで、今後何回か筆者の考えを主張していく腹積もりだ。
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