土肥(編集部) 小林さんは、なにか注目しているメディアはありますか。
小林 メディアというよりはプリントオンデマンド(POD)の波が、もう1回やって来ると思っています。日本では昔、早すぎて普及しなかったのですが、欧米を見ているとPODの流れが来ています。
出版社を運営して分かったことは、在庫を抱えるということが、かなりしんどいということ。なので本の注文があれば、その人に1冊ずつ製本して届ける――といった形は合理的。出版社が生き残るのには、PODがベストだと思っています。
ただ日本では、まだコストが高すぎでしょうね。これからは電子ブックもさることながら、PODの分野が日本でも密かに普及するのではないか、と期待しています。(上杉隆×小林弘人、対談終わり)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。富士屋ホテル勤務、NHK報道局勤務、衆議院議員・鳩山邦夫の公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、2002年にフリージャーナリスト。同年「第8回雑誌ジャーナリズム賞企画賞」を受賞。
『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(新潮社)、『小泉の勝利 メディアの敗北』(草思社)、『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎新書)など著書多数。
上杉隆さんと小林弘人さんの対談はいかがでしたでしょうか。お2人には日本と米国のメディア事情を中心にお話しいただきましたが、ここで少しだけ補足いたします。
米国では新聞やテレビの売り上げが低迷している一方、インターネットを使ったメディアが存在感を増してきています。例えばAOL系の「パッチ・ドットコム(Patch.com)」やニューヨーク・タイムズが運営する「ザ・ローカル(The Local)」はいずれも地域に根ざした情報を配信。このほか特定のテーマに絞った形のメディアも台頭してきています。小林さんが紹介されていた「ハッフィントンポスト(Huffington Post)」のほか、「デモクラシー・ナウ(Democracy Now!)」といったメディアは読者から寄付を募り、それを基に記者が取材し記事を配信しています。
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