年々縮小が進んでいる、世界の腕時計市場。2008年には2兆8600億円規模だったものが、2009年には2兆3400億円となる見込み。リーマンショックをもろに受けたこともあって、1年で約2割という大幅な規模縮小に見舞われている。
日本国内に目を移しても同じ状況だ。最近はしばしば百貨店の苦境が報じられているが、百貨店の売り上げ低迷に直撃されているのが、高級アパレルや高級腕時計市場である。
高級アパレルブランドが苦戦し、ユニクロやGAPなどに代表されるファストファッションが台頭してきているのは、日本でも欧米でも共通の現象である。実際、流通の現場を見ても、腕時計売り場が入りやすく目立つ場所に置かれている百貨店・量販店は少ない。店舗の奥や階上といった、集客力の弱いところに押しやられがちなのが現状だ。
さらに追い打ちをかけているのが、携帯電話やポータブルゲーム機といったスマートガジェットの普及である。これらの商品の人気がウェアラブル市場での消費者の興味を奪い、腕時計に対して興味を持つ人が、世界的に減りつつある。
「消費者の時計に対する興味がさらに薄れていくことに、我々は強い危機感を持っているんです」――そう話すのは、カシオ計算機取締役時計事業部長の増田裕一氏だ。「こうした中で、カシオ計算機が目指すのは『カシオ自らマーケットの興味を喚起し、時計マーケットを盛り上げていくこと』なのです」
増田氏は、同社が考える時計事業の基本戦略は大きく3つあると話す。
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