飼い主の“愛”が伝わる猫砂選び郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)

» 2010年06月10日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]
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中核には猫と飼い主のコミュニケーション

 私の子ども時代の猫トイレ、思えば新聞紙だった。段ボールの箱を10センチほどのトレイ状にして、中に2〜3センチほどの幅にちぎった古新聞をふんわかさせる。匂いはひどかったし、ウンチは生ゴミと一緒に捨てていた。新聞紙はコトをいたした後、後ろ足でひっかいているので上にかぶせにくい。だからなのか、新たに替えてやらないと猫は次をしない。

 面倒な作業だったが、新聞をちぎるのは嫌いじゃなかった。なぜなら、替えてやると猫が感謝するからだ。もちろん猫はクールだから、「ありがとう」なんて言わない。だが、タンスの上から、猫はトイレの世話をする飼い主の姿をちゃんと見ている。感謝しているのだ。猫らはおそらくこうつぶやいている。

 「吾輩は猫である。名前はあるが、おかしな名前は飼い主の責任だ。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。でも近頃は、ちぃっともじめじめしない所で、ニャーニャーと、大だの小だのできる事だけは感謝している。吾輩はここでトイレの大切さを知った。飼い主の吾輩への愛を知った」

 cherryさんの3匹だけではない。きっと、全国1000万頭の大半が猫砂の上にまたがるたびに、猫語でつぶやいているはずだ。

 思えば猫砂とは、猫と飼い主のコミュニケーション商品である。新たな猫砂を導入するごとに、「これどお?」「にゃー」と語り合っている。昔、化粧品会社レブロンは「当社は希望と夢を売っている」という名言を残したが、ペット会社は「ペットとのサイレント・コミュニケーションを売っている」。山積みの猫砂商品から自社を差別化するには、機能アピールだけでなく、猫砂トライアルの進め方、猫の仕草分析、飼い主の都合の整理など、飼い主と猫の心理・行動をマーキングすることが大切だろう。

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