W杯は大丈夫!? 元駐在員が教える南アフリカの治安状況(1/3 ページ)

» 2010年06月11日 08時00分 公開
[三宅信一郎,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:三宅信一郎(みやけ・しんいちろう)

BFCコンサルティング社長。北海道大学経済学部経営学科卒業後、大手総合商社、コンサルティング会社、IT企業において長年に渡り、一貫して新規ビジネス開発分野に関わる。


 いよいよサッカーワールドカップ南アフリカ大会が、6月11日に開幕します。筆者は、1993年から1998年の約5年間、商社の駐在員として南アフリカに駐在していました。南アフリカの治安の悪さについては、マスコミによって、強盗傷害事件が1日あたり1500件だとか、殺人事件が1日あたり50件だとか報じられていますが、数字だけ聞いてもあまりピンとこないのではないでしょうか?

 そこで、南アフリカの治安の悪さを少しでも実感していただき、安全な南アフリカの旅を満喫いただくために、筆者の体験をもとにいくつかの注意点をお話ししようと思います。治安はお金で買うことができますし、注意すれば災難を防ぐことも可能なので、そこさえ守れば楽しく観戦できると思います。

注意1:タクシーには乗るな

 筆者は駐在期間中の5年間、1度もタクシーには乗りませんでした。よく現地の連中から、「タクシーの運転手は、強盗と一緒だ」と言われていました。運転手の中には、銃を所持している連中もおり、特にヨハネスブルグ空港などから安易に乗ってしまうと、黙って黒人居住区に連れて行かれて、強盗や盗難などの災難に合う確率が非常に高いです。

 筆者は世界の多くの国を旅した経験がありますが、危ないと言われているブラジルでさえ、サンパウロ空港からはタクシーで市内に入ることが出来ました。空港からタクシーに乗らなかった国は、南アフリカ以外記憶がありません。

注意2:レンタカーは借りるな

 駐在員はどこの会社でも、基本的には会社が雇った黒人ドライバーに運転してもらって通勤しています。ただ、慣れてくると自分で自家用車を運転するのですが、慣れないうちに南アフリカでクルマを運転することは非常に危険です。

 南アフリカの大都市の近郊には、アパルトヘイトの1つ、人種隔離政策の名残である黒人居住区という地域が存在しています。ヨハネスブルグの場合は、クルマで20分ほど走ったところにソエトと呼ばれる巨大黒人居住区があり、一説には200万〜300万人の黒人が住んでいると言われていますが、正確な人口は分かりません。

 この中の治安は特に良くないので、絶対に入りこまないように気を付けていたのですが、高速道路などの出口を間違って、誤ってソエトの中に迷い込んでしまったことがありました。幸い何事もなく脱出できたのですが、日本製のクルマで日本人が侵入してくること自体珍しいのでしょう。住人がだんだんぶらっと集まってきて、クルマを取り囲み始めた時は本当に恐ろしかったです。

 抜けるような青空、さわやかな空気に気を許して運転をしていると、知らない間に黒人居住区に迷い込んで、2度と出て来れないなどということにならないようにレンタカーはおやめ下さい。

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