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» 2010年06月21日 08時00分 UPDATE

ちきりんの“社会派”で行こう!:サッカーワールドカップが人気の理由 (2/2)

[ちきりん,Business Media 誠]
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ワールドカップが面白い理由

 次にワールドカップが面白い理由を考えてみましょう。

(1)国別対抗でナショナリズムを刺激

 まず、露骨にナショナリズムに訴えているのが、人気の源ですよね。それにオリンピックだと種目ごとに金メダルを分け合えますが、単一種目だと優勝は1カ国だけです。これは燃えるでしょう。

 「ナショナリズムをスポーツに持ち込むのは嫌い」という人もいますが、貧しい国にとっては大きな意味があります。普段はお金のために欧州のクラブチームでプレーするスター選手が、ワールドカップでは自国のユニフォームを着て戦ってくれるのは、国としての結束力を高め、1勝するごとに国としての自信を得ることにもつながるでしょう。

(2)リーグ戦とトーナメント方式の組み合わせが絶妙

 野球みたいに“年間144試合”では興奮が持続しないし、オリンピックのフィギュアスケートのように“1回勝負”ではショートとフリーに分かれてるとはいえ、運の要素が大きすぎます。第1回ワールド・ベースボール・クラシックでは、韓国は2度も日本に勝ったのに、準決勝では負けたため、優勝できませんでした。こういう大会で「本当に一番強いチームが優勝する」とみんなが納得できるような試合方式を定めるのは容易ではありません。

 サッカーのワールドカップでは、その辺のバランスが絶妙だと思います。例えば一次リーグでは、初戦で勝つか、引き分けるか、負けるかというのは、ものすごく大きなことではありますが、それだけでは何も決まりません。勝ってもまったく安心できないし、負けても「まだ何とかなる」と思える。また、各グループに強豪のシード国が分散して入っているので、シード国以外の多くの国にとってもチャンスがあると言える一方、「絶対楽勝」とも言えません。

 そしてグループリーグを抜けるとトーナメント方式になり、「この試合しかない!」という緊張状態になります。一次リーグは「運だけでは抜けられない」ですが、それ以降は「運も実力だ!」というバランスがすばらしいと思います。

(3)4年に1回しか行われない

 4年に1回だと、優勝国が毎回変わることになるでしょう。大会が毎年開かれるのであれば、強い選手が数人揃った国が連勝することはそれほど難しくありません。しかし、どんな天才プレーヤーでも衰えがくるので、4年に1度の大会で数大会にわたって活躍するのは不可能です。

 次の大会は4年後なので、どの大会にも「今回の大会が最後のチャンス」と思われる年齢の選手がいて、“感動の人間ドラマ”が生まれます。前回負けた国では、選手たちも応援する方も「雪辱を果たすために、4年間も頑張ってきたのだ」という気持ちになっていますから、一層熱が入るでしょう。

(4)いろんな人がもうかる

 オリンピック同様、「毎回違う場所で開催する」のも人気がある理由でしょう。これにより「開催場所を決める」というプロセスまでが“イベント化”されます。開催都市では誘致活動のほか、開催が決まれば都市整備まで行い、巨額のお金が動きます。

 最ももうかるのは旅行業界で、毎回違う場所で開催すれば、観光を兼ねて毎回別の場所を訪れてくれる人も出てきます。世界中のテレビや新聞などのメディアでも、試合中継に加えて開催国の文化や土地柄の紹介など、周辺ネタ(コンテンツ)をたくさん報じます。さらに、国内の各都市に散らばるスタジアムの近隣では、レストランやバーはもちろん、さまざまなお店が潤うでしょう。

 もうかる人が多いかどうかは、こういったイベントの盛り上がりに大きく影響します。なぜなら自分がもうかると思えば、彼らは一生懸命そのイベントの宣伝をしてくれるからです。協会とスポンサー企業だけでなく、メディアや旅行業界、地元の多くの店や都市整備に関わる企業などがみんなで騒いでいるうちに、どんどん盛り上がってくるのでしょう。

日本チームの行く末やいかに

 日本の一次リーグ最終戦であるデンマーク戦は6月24日27時30分から(日本時間)。デンマークは強豪ですが、決勝トーナメントに進めるよう、日本チームにはぜひとも頑張ってほしいものです。

 ではでは。

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著者プロフィール:ちきりん

関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitter:@InsideCHIKIRIN

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