最後に、今回の展覧会のタイトル「スパイと失敗とその登場について」について聞いた。
スパイの活動とは南はどこからどこまでだろうかと考えることに似ている、南に行けばいつかは南極に着き、その後は北に向かう、南に向かうとは北に向かうことであるのだ、スパイの活動は普段目にはみえないが、そのスパイが失敗したときに初めて明らかになる(展覧会プレスより)。
このタイトルについて意味を尋ねると、「思わせぶりなタイトルは好きじゃなくて。すごくストレートな意味です。椅子は座るものですとか、かばんはものを入れるものですっていう感じ。スパイは見つかったら人に見えますよねっていうこと。すごく冷たい飲み物と熱い飲み物があって、それを混ぜたときに作られるぬるい飲み物を感じないという感覚っていうんですか。冷たいものと熱いもの、それぞれはちゃんと感じるんですけど、それを混ぜた生ぬるいものっていうのは感じられない。アイリッシュコーヒーみたいな、酔ってるのに頭が覚醒しているような。そんな感じです」。
飄々(ひょうひょう)と話をする落合氏は、どこかつかみどころがない、ゆるりとはぐらすように作品の話をする。自由と不自由、ルールと概念、意識と無意識について、さまざまな角度からアプローチし、言葉の持つ意味の多重性を巧みに操り作品に落とし込む。観客は、作品世界に入り込むことで、だんだんと普段持っている常識や意味、時間の概念からスルスルと解放されていく。これが心地いいズレなのだ。8月8日まで。
会期中、ギャラリーカフェで毎日17時30分より、5名限定で、アイリッシュコーヒー(コーヒーとウイスキー)をサービス。16時30分より受付でコーヒー券を配布中。酔っているのに頭が覚醒しているような感覚で作品を体験してみるのもいいかもしれない。
開催中〜8月8日(日)
ワタリウム美術館 東京都渋谷区神宮前3-7-6
11:00〜19:00(毎週水は21:00まで)
月休(7月19日は開館)
大人1000円 ※期間中、何度も使えるパスポート制
Copyright (C) 1997-2014 Excite Japan Co.,Ltd. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング