日産、低燃費環境技術5種類を発表――新型マーチやクリーンディーゼル搭載AT車から順次投入

» 2010年07月09日 16時13分 公開
[栗田昌宜,Business Media 誠]

 日産自動車は7月6日、2010年度に市場投入予定の新型車に搭載する低燃費環境技術を発表した。また同社は、これらの新技術を搭載し、各セグメントでのトップレベルの低燃費を狙うエンジン進化型エコカー「PURE DRIVE」シリーズの投入を発表した。

 同社が発表した低燃費環境技術は、CO2排出量削減への取り組みを中心とした中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム(NGP)2010」の一環として研究開発してきたもので、「(1)1リットル当たり26キロの低燃費小型車用パワートレイン」「(2)ポスト新長期規制に適合したクリーンディーゼルAT車」「(3)新ハイブリッドシステム」「(4)デュアルインジェクター採用の1.5リッターエンジン」「(5)1.6リッターガソリン直噴ターボエンジン」の5種類。

 「1リットル当たり26キロの低燃費小型車用パワートレイン」は、3気筒1.2リッターエンジン「HR12DE」と新型エクストロニックCVT(無段変速機)を組み合わせたもの。HR12DEは、小型車で一般的な4気筒エンジンよりも可動部品が少なく、また、シリンダーブロックに真円ボア加工技術などを採用したことにより、同排気量の4気筒エンジンに比べて摩擦抵抗を約20%低減した。エンジン回転軸の重量バランスを工夫するなどして、4気筒エンジン並みの低音震性も実現しているという。

 新型エクストロニックCVTは、複数のギアを備えた副変速機を採用。発進加速時と高速安定走行時で使用するギアを変えることにより、発進加速性能と静粛・低燃費性能を両立させた。摩擦抵抗は従来に比べて約30%低減しているという。

 この新パワートレインは、PURE DRIVEシリーズの2010年度第1弾として同社が7月に発売する新型「MARCH(マーチ)」に搭載され、アイドリングストップとの組み合わせにより、1リットル当たり26キロというクラストップレベルの低燃費を実現している。

新型「MARCH(マーチ)」に搭載される3気筒1.2リッターエンジン「HR12DE」(左)と新型エクストロニックCVT(右)

 「ポスト新長期規制に適合したクリーンディーゼルAT車」は、ポスト新長期規制に適合したコモンレールディーゼルエンジン「M9R」をAT(自動変速機)と組み合わせたSUV「X-TRAIL(エクストレイル)」の新モデル。従来のM9R搭載エクストレイルはMT(手動変速機)車のみだったが、7月の新モデル発売以降はAT車/MT車を選択できるようになる。M9Rを搭載したエクストレイルAT車は、PURE DRIVEシリーズの2010年度第2弾。

 「新ハイブリッドシステム」は、エンジンやモーター、駆動輪の間にそれぞれ電子制御クラッチを配した日産独自のシステムで、モーター走行時や減速時には抵抗となるエンジンをシステムから完全に切り離すことができるため、モーターのパワーや減速時の回生エネルギーを無駄なく活用できる。この新ハイブリッドシステムは、今秋発売の高級セダン「FUGA」に搭載される予定。

エンジンやモーター、駆動輪の間に電子制御クラッチを配した独自の新ハイブリッドシステム

 「デュアルインジェクター採用の1.5リッターエンジン」であるHR15DEは、インジェクター(燃料噴射装置)を気筒当たり2基搭載する。噴射する燃料の粒子を約60%小さくして燃焼を安定化させ、熱効率を向上させるとともに、可変バルブタイミング機構との組み合わせにより吸気抵抗を低減した。これらにより、同社の従来型同クラスエンジンに比べて燃費が約4%向上し、後処理前の排出ガス中に含まれるHC(炭化水素)も低減したという。同エンジンは6月発売のコンパクトSUV「JUKE(ジューク)」に搭載されている。

 「1.6リッターガソリン直噴ターボエンジン」であるMR16DDTは、ガソリン直噴システムとターボチャージャーを組み合わせた1.6リッター4気筒エンジン。2.5リッターガソリンエンジン相当の出力を備えており、エンジン回転数全域での優れた加速性能と出力比燃費性能を高次元でバランスさせた。同エンジンは今秋発売のジューク追加モデルに搭載する予定。

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