引き合いに出した元幹部はいたって温厚な人物であり、筆者が個人的に恨みを抱いているわけではない。ただ、同氏ほどではないにせよ、経済ニュースに登場して解説を加える専門家の中には、「メディアへの露出が最優先課題」ととらえている向きが少なくないのだ。露出度が上がることにより、業界紙が実施するアナリストランキングが上がる、あるいは、講演のギャラが上昇すると割り切っている向きも確実に存在している。
内外の通信社や一部の経済メディアを除けば、大手紙や民放テレビの経済担当記者の異動のサイクルは速い。長くて1年、半年おきに担当部署が変わるケースがざらにある。
こうした際、手元にコメントを寄せてくれる専門家のリストがあれば、取材の手助けとなることは間違いない。また、通信社や業界紙に登場する頻度の高い専門家を選びがちになる。原稿をチェックするデスクに話を通しやすくなるからだ。
ただ、先に触れたように「露出最優先」の関係者に当たり、おざなりなコメントを取る機会が増加する事態になってしまえば、原稿の価値は大きく減じてしまう。記者ならば自身の目で、自分の原稿を補完しつつ、読者をより高みに導いてくれる専門家をコメンテーターとして発掘する努力を怠ってはならない。
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