自転車には欠かせない「シマノ」、その実力に迫った松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年09月08日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 9月1〜4日にかけて、ドイツ南部の都市フリードリッヒスハーフェンで欧州最大級の国際自転車メッセ『ユーロ・バイク(Euro Bike)2010』が開催された。19回目となる今年は出展数(世界42カ国、1100社)、来場者(69カ国、約3万5000人)とも過去最高を記録し、10ヘクタールの会場にはシティーバイク、競技用自転車、最新技術を駆使した部品、アクセサリー類などが所狭しと展示されていた。

 今回の時事日想は自転車の総合メーカーとして圧倒的な存在感を誇るシマノを取り上げ、自転車の本場欧州を舞台に成功を収めた「日本発の世界企業」の戦略を探る。また次号ではドイツの老舗HERCULES(ヘラクレス社)のE-バイク(電動自転車)戦略を中心に、欧州における自転車業界の現状と今後の潮流を探ってみたい。

9割以上がシマノ製

試乗コーナー

 クルマを持たない筆者は8年前に購入したマウンテンバイクを愛用しているが、そのブレーキと変速機はシマノ製だ。購入当時、自転車屋で品定めをしながら気付いたのはシマノ製品の占めるシェアが非常に高いこと。その傾向は近年さらに高まっており、現在小売店に並ぶ自転車は4万円程度の普及モデルから12万円を超える高級モデルまでブレーキと変速機の9割以上がシマノ製だ。

 欧州といえば自転車の本場である。自転車の原型「足こぎ自転車ドライジーネ」は1817年にドイツのドライス男爵が発明したもの。200年の進化を遂げた現代の自転車は子どもから高齢者まで、そして日常から競技まで、あらゆるシーンで愛用されている。1901年創業の自転車部品メーカ「カンパニョーロ(伊)」を追い越し、シマノが圧倒的なユーザーの支持を得ることに成功した背景は何か。シマノ・ヨーロッパ(オランダ)の広報・マーケティング部長トロスト氏に話をうかがった。

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