経営コンサルタント滅亡――その先はあるのか?郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)

» 2010年09月09日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]
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コンサル需要はどうなるか?

 業務改善系では「社員覚醒型」の仕事は全滅だろう。改善ニーズが無いのだからコンサルも不要である。戦略系では戦略を外注する余裕のあるクライアントはひと握りになる。専門系では会計士、国際化支援などの助言はしぶとく残るが、需給ギャップから単価減。脱法系はしぶとい。「借りた金を返すな」と辻説法するコンサル先生の需要は消えない。IT系はキツい。かつての開発費10億円の基幹システムを、1000万円のWebサービスに置き換える開発はこれから本番。食べなければ餓える、食べても劇薬。まさに業界再編前夜である。

 ではコンサル業、お先真っ暗だろうか? もちろん、今のままとどまっていたら沈没だ。だが、生まれ変わればいい。コンサル業の美質は“変わり身の早さ”。舌の根が乾かないうちに……とも言うが(笑)、その原点に返ろう。

 ドラッカーが発明した“マネジメント”とは何だったのか。それは次の5つの要素である。

1.目標設定

2.資源の組織化

3.動機付け・コミュニケーション

4.評価測定

5.人材開発

 これらは時代を越えて、あらゆる組織に必要な普遍的なもの。これらをつなぐ動脈や静脈の血糖値を下げたり、血管梗塞を取り除いたりするのが、かつてのコンサルタントの役目だった。だが、たいていの企業で自前でできるようになったので、「マネジメントを変える“元ネタ”を持ってくるなら仕事はあるよ」、それも「ペーパー提案ではなく、形のあるもので提案してほしい」。これが企業のホンネなのだ。

ポストマネジメント・コンサルタントの時代へ

 試作品やサービスモデルを見せて、「これを貴社の経営資源とマッチさせれば、これこれが実現します」と提案する。ネタが通ればマネジメントの5つの要素を指導する仕事が発生する。ここまでやらなければならなくなった。

 提案のキーワードは「アントレプレナー(起業家)」「ネットワーキング(人脈)」「プロトタイピング(試作)」の3つ。あたかも起業家のように発想し、異能の人脈を生かして試作品まで作り、フィットするクライアントを発掘する。

 ポスト・マネジメント・コンサルタント、それを私は“アントレ”コンサルタントと呼びたい。アントレ(entre)とはアントレプレナー(起業家)のアントレで、仏語で“between=間”という意味である。外部のアイデア、プロトタイプ作り、実践運用での橋渡しという意味を込めた。

 提案分野はいろいろある。エコ、温暖化防止、地方活性、人材改革、国内空洞化……。失われた10年のおかげで解決すべき課題は山盛りだ。こんなにやりがいのある時代もない。コンサルタント冬の時代なのか春の時代なのか、考え方次第である。クライアントにも言いたい。買い手市場の今発注すると、みんな必死で良い仕事をしますよ。

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