コンビニで最も売れたチョコ、ガルボボールの秘密コンビニ、ヒット商品の理由(1/2 ページ)

» 2010年09月28日 08時00分 公開
[笠井清志,Business Media 誠]

「コンビニ、ヒット商品の理由」とは?:

限られた売り場を最大限に活用して、面積当たりの売り上げを高めているコンビニ。約100種類の新商品が毎週発売されているが、売れない商品は発売から2週間ほどで撤去されてしまう。厳しい審判をくぐり抜け、コンビニでヒットしているのはどんな商品なのか。一般には「おいしい商品」「お得な商品」「テレビCMが放映されている商品」が売れると思われがちだが、実は重要なのは「店頭展開」。このコラムでは、コンビニのヒット商品を展開方法の観点から分析していく。


 8月24日に明治製菓が発売したガルボボールは、あるコンビニのチョコレート部門で発売週から売り上げトップとなった商品である。しかも、発売週のランキングを見ると、1位「ガルボボール」、2位「ガルボミニポケットパック」と、ガルボファミリーのワンツーフィニッシュだった。

 ガルボボールの販売数は驚異的で、詳細な数字は示せないが、2位のガルボミニポケットパックの約2倍となっている。ガルボボールの単価は210円と、ガルボミニポケットパックの128円より6割以上高価であるにも関わらず、である。

 そして、発売から約1カ月が経過した今でも、売り上げは上位をキープしている。今回はこのガルボボールが、コンビニでチョコレート部門の上位にランクインし続けられる要因を探ってみよう。

ガルボボール

コンビニのチョコレート戦争

 そもそも、過去5年ほどの間、コンビニのチョコレート部門では、「ガルボ」ブランドが強さを誇っている。ガルボブランドが強くなった要因となった商品がガルボミニポケットパックである。

 スーパーでは売れ筋商品である「ガルボ 6本」は、コンビニではあまり売れていなかった。そこでガルボミニポケットパックでは、販売チャネルをコンビニ限定として、パッケージもBOXタイプから小袋タイプに変更したところ、大ヒット商品となったのである。女性のカバンにも入るように小さな食べ切りサイズにした結果、ガルボファミリーの特徴である「溶けにくさ」「手にベタベタ付かない」が際立ち、移動中に小腹満たしとして食べるコンビニユーザーに受け入れられたのである。

ガルボミニポケットパック(左)、ガルボ 6本(右)

 ガルボミニポケットパックの登場で、チョコレート戦争に「小袋サイズ」という新しい分野が加わることとなった。その後、各社が同様のサイズの商品や、スティックタイプのチョコレートを発売することとなる。そして、先行者メリットから「小袋チョコレート=ガルボミニポケットパック」と消費者に認識してもらえることとなり、小サイズチョコレートの競争が激しくなり、市場が大きくなるに比例して、ますますガルボミニポケットパックの商品力・ブランドが強くなっていったのである。

 コンビニオーナーも「ガルボが発売される=売れる!」と連想するほど、ガルボブランドは高まっている。「販売者(コンビニ店長など)が力を入れて商品展開を強化するとヒット商品は生まれる」という本コラムの基本コンセプトを、ガルボファミリーはパーフェクトにクリアしているのである。

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