苦労して作ったディスカッションペーパーが無視されて、あさっての方向に議論が展開する。1時間の会議を想定していたのに、3時間も4時間もかかってしまう。挙句の果てに、お調子モノのメンバーに、進行役をジャックされる。会議の進行役は自分の想い描く会議の展開にならずに イライラしてくる。そこで……
進行役 佐藤君、論点がブレてるよ。本日の議題は、施策のアイデア出しです。論点を戻しましょう!
そう言うと、今度は静まり返り、誰も発言しなくなる。論点ブレより、アイデアが出ないのはもっと致命傷である。いやはや、これはいったいどうしたものか?
悪いのは佐藤君だろうか? 鈴木君だろうか?
いえいえ、どちらも悪くないし、どちらも企画検討能力が欠落しているというわけではない。そもそも企画というのは高度な作業であり、さまざまな角度から視点を変えて、物事をとらえて、アイデアを発散させる。そもそも、もともとの論点を意識し続けることは難しいのである。すなわち、ブレ易いのである。たまに、論点をブラさずに、素晴らしいアイデアを創出する優秀な人はいるが、まれである。
進行役は会議進行に意識が向いているので論点はブレにくいが、アイデアを考えるメンバーは頭の中で絶えず視点を切り替えるといったブラし作業をしているため、論点も合わせてブレやすいのである。一度立場を変えてみると、本当によく分かる。
頭の中で、そんな難しいアイデア創出作業をやっている当人に、論点ブレを指摘したりすると、途端に思考が停止してしまうといった事態が起こりうる。あまり、うるさく言わない方が好ましい。ある程度の論点ブレは、必要悪ととらえて許容すべきである。
前述したように、論点ブレよりも思考停止の方が、よっぽど致命的である。当人に、論点ブレを指摘することは極力避けたいところである。
そのためにも、事前防止策を打つことが有効である。例えば席の配置を工夫して、誰もが発言する際に必ず目に入るスペースを確保する。そして、そのスペースに大きく「論点は●●」と書かれた模造紙を張っておく。そうすることで、発言するタイミングで自分自身で論点ブレに気付いてもらう。
それでも、論点ブレが起こってしまったら、アイデアの発言に最大限の敬意を払いつつ、相手を傷つけないよう、丁寧に軌道修正を図るべきである。(赤秀有為)
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