ミナ ペルホネン15周年記念展のテーマは「進行中」(1/5 ページ)

» 2010年10月28日 21時00分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
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「高い美意識と審美眼を持ち、本物を知った30代男性」に向けたライフスタイルのクオリティアップを提案する、インターネットメディアです。アート、デザイン、インテリアといった知的男性の好奇心、美意識に訴えるテーマを中心に情報発信しています。2002年11月スタート。

※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 「特別な日常服を作りたい」そんな考え方で、皆川明氏がミナ ペルホネンを立ち上げたのが1995年。今年で15周年を迎える。ミナ ペルホネンのものづくりの原点を振り返る展覧会「進行中」が、今年25周年を迎えるスパイラルガーデンで開催された。

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 スパイラルガーデンは、ミナ ペルホネンが2002年に初個展「粒子 exhibition of mina's works」を行った場所だ。あれから8年、オリジナルの生地にこだわり、まったく変わらないものづくりの姿勢と、変わりながら蓄積していくデザインと経験、その両方が積み上がり、まだまだ「進行中」なのだ。

 デザイナーの皆川氏からのコメント。

 「今回は、こんな展覧会を開催することができて、本当に胸がいっぱいです。ありがとうございます。15周年というのはすごくうれしいことなんだけれども、日数にしてみればたかが5000日程度のこと。これからずっとずっと続いていくためには、常に未来を見ていかねばならないと感じています。今回スパイラルが25周年を迎え、新たなロゴのコンセプトを『縁(en)』とされていますが、『縁』という言葉には2つの意味があると思っていまして、100年先も続いていく『縁』と一期一会の『縁』、この2つの縁に導かれてここまでこられたと思っているし、これからも続けていきたい。ファッションブランドとして紡いできた糸は自然とつながっています。工場のみなさんやスタッフと培ってきたものづくりのプロセスを今後も続けていきたい。展示タイトルの『進行中』というのは、タイトルどおりの意味で『いまこの地点におります、これからもこの世に物を作り続けていきます』という意味です。軸足をぶらさずに、自分たちがやれることをやっていく。これだけです」

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 展覧会「進行中」の会場構成は、2002年の「粒子」展と同じくブルーマークの菊地敦己氏が手がける。菊地氏のコメントはこちら。

 「皆川さんとはブランド立ち上げのときからご一緒していて、7年目に開催した初個展『粒子』でも会場構成を担当しました。通常、ファッションブランドというのは、自分たちの手の内を明かさないというのが鉄則です。それを制作のプロセスからなにから裏側を全部見せてしまおうという試みで。ミナ ペルホネンというブランドは、完成した商品としての『洋服』の見た目だけではなく、デザインの考え方や、テキスタイルが作られる技術へのアプローチ、などの過程も大切にしているんです。それを見せたかった。あれから8年経ち、15周年記念なんて名うっていますが、そのような区切りはそんなに重要ではなくて(笑)。新しい試みを積み重ねながら、継続していくことが重要なので。だから『進行中』というタイトルをつけたんです。またまだ途中だし、これからも続いていくということでしょうから」

 では、展覧会を見ていくことにしよう。まずはメイン会場に向かう左手から。展示台の中には、ミナ ペルホネンを象徴するいくつかの生地とそれにまつわるスケッチ、デザインに至るまでの言葉やドローイング、メモが展示されている。

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 「刺しゅう」ミナ ペルホネンのテキスタイルには欠かせない装飾である。これは2002年にデザインされた「carnival」。ぷっくりとした少々目つきの悪い鳥が群れをなしている。スケッチを見ていくと、鳥が飛んでいるところから、そこに葉や花などの要素を足し、さらに鳥のディテールが書き込まれているのが分かる。

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