持高調整の売りもあって大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年10月29日 16時02分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株は比較的底堅く、為替も円高に振れましたが、外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)も買い越しと伝えられたのですが、寄り付き前に発表された鉱工業生産指数が予想を下回ったことが嫌気されて売り先行となりました。昨日の引け後に好決算を発表した銘柄にも軟調なものが見られるなど、持高調整と見られる売りも嵩み、さらに円高が進んだことで、好決算を発表しながらも売られる銘柄も多くなって指数は大幅下落となりました。

 好決算を発表する銘柄が多く、為替の水準も1ドル=80円としても収益上振れとなるような銘柄も多く見られたのですが、鉱工業生産指数の悪化を受けて「景気悪化懸念」があると大きく売られてしまいました。政府も景気の悪化に対して懸念しているようなコメントをしていますが、一方で子供手当ての継続や増額、そして太陽光発電の補助の圧縮などを「仕分け」しようとしています。政府の景気対策、経済政策は全く見えず、企業努力でこの事態を乗り切れということなのでしょうか。

 好決算を発表している企業でも「コスト削減」と言うことで、賃金を抑えられている人も多いと思います。企業業績が良くなれば本来であれば個人消費や雇用もよくなり、景気拡大ということになるのだと思います。米国では明確にその動きがでており、ドル安効果、金融緩和効果で新興国などで企業が利益を出し、その結果国内の雇用が確保され、個人消費も伸びると言うことで景気が回復しているのだと思います。

 景気の回復がなければ雇用も少子化対策も出来ないのですから、子供手当てなどという目先のにんじんではなく、しっかりと国力がつくような政策、対策を採るべきではないかと思います。そうすれば、現状でも好決算を発表している企業などは収益力が高いわけですから、さらに大きな収益を上げることが出来ると思います。そうした企業が牽引して日本の景気を引っ張るようであれば、好決算にも素直に反応できる相場となるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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