それでもベンチャー企業で働きますか? ペケ社長の見分け方吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2010年12月17日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 やはり、私は言い切ることができない。「ベンチャー企業は実力主義。若くとも権限が委譲され、やりがいがある。だから、就職したほうがいい」とは――。その理由を私が取材で得た情報を基に述べていきたい。また私見であることをあらかじめ断っておきたい。

 3年前、人事系の雑誌で「売上10億円〜30億円の壁」をテーマにベンチャー企業20社ほどを半年間かけて取材した。ベンチャー企業は創業後、売上3億円、10億円、30億円、50億円の前で壁にぶつかるケースが多い。実際は、10億円の壁を越えることができない会社が大多数である。

 私が取材したうち15〜18社ほどは、そのいずれもが3億円の壁は余裕で乗り越えた。この壁の前で成長が止まる会社に就職することは、率直に言ってお勧めできない。3億円までは経営者の力で行くものである。それができないということは、経営者が「ベンチャー企業経営者」ではなく、「個人事業主」のレベルなのかもしれない。

 乗り越えた会社は、創業経営者の独特のカンや、すさまじい営業力、妙なカリスマ性などで躍進していく。3億円〜6億円までくらいは社員数30人前後の場合が多く、大半は中途採用者で占められる。それぞれの前職は違うことが多く、社員間の「共通言語」がない。職場のやりとりを聞くと、込み入った会話をするのが難しいようだった。

 それでもなんとかなる。多くの創業経営者は数え切れないほどの問題を“ハッピー”にしてしまうカリスマ性を持っていた。また私には理解ができないほど、楽天家なのである。ただ、独特のカンで行き当たりばったりで進めるので、それに振り回される社員が多かった。そして3〜5年以内に、全社員の6割ほどが辞めていく。

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