ドラマの世界でも起きている! スポンサーに気をつかった規制相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年01月13日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

 筆者は小説執筆にあたってほとんど制約なくストーリーを創造している。規制と制約でがんじがらめにされた友人に激しく同情した次第だ。

 広告最大手の電通によれば、2009年のテレビ広告費は前年比10.2%減の1兆7139億円、新聞は同18.6%減の6739億円となった。近く発表される2010年通年のデータでは、「2009年以上の減少はほぼ確実」(民放営業関係者)という。

 広告収入の減少でドラマのスポンサーの発言力はますます強まる。脚本家、あるいは番組制作スタッフの苦悶は一段と増すのが確実な情勢だ。

テレビや新聞の広告費が減少している(出典:電通)

報道の現場に暗い陰

 閑話休題。

 昨年、筆者は当コラムで「“ボツ確実”でも取材せよ――不況下のマスコミ界でちょっといい話」と題する記事を書いた。人気の刑事ドラマと同様、民放の報道現場で有力スポンサーに配慮する形で、筆を曲げるよう記者に対する圧力が増しているのは紛れもない事実なのだ。

 筆者が現役記者時代だった10〜15年ほど前は、古巣の有力顧客である大手の金融機関に対する批判記事、あるいは不祥事を取材する際に制限はほとんどなかった。

 実際、某大手都銀を巡るスキャンダルでは、筆者は幹部を昼夜ベタ張りし、会見ではきつい質問を何度もぶつけた。これをとがめる上司がいなかったのはもちろんのこと、取材される側だった銀行からもクレームが付けられることは皆無だった。

 だが、筆者の退社間近の時期、不況が深刻化する兆しをみせた5〜6年前になると、古巣の定期購読サービスを停止する、あるいは古巣が主宰する講演会組織の脱退をほのめかし、暗に圧力をかけてくる顧客読者が増え始めた。

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