前向きな評価会議をするための5つのポイント(1/2 ページ)

» 2011年01月14日 08時00分 公開
[今野誠一,INSIGHT NOW!]
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今野誠一(いまの・せいいち)

マングローブ社長。組織変革と、その担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。そのかたわら、経営者コミュニティサイト「MG-NET+(マグネットプラス)」編集長として経営者同士のネットワーク作りにも取り組んでいる。著書に『マングローブが教えてくれた働き方 ナチュラル経営のススメ』(ブルース・インターアクションズ)。


 私はリクルートグループのある会社の人事部長を10年弱務めた後、組織・人事コンサルティング会社のマングローブを立ち上げました。

 10年弱の人事部長生活で、力を入れていた3つのことがあります。1つ目は「新卒採用に力を入れること」、2つ目は「教育に力を入れるということ」、3つ目は「人事制度(特に評価制度)運用に力を入れること」です。

 人事部長のやるべきこととしてどれも同じくらい重要なことですから、重要な順番に書いたわけではありません。この中でも、最も難しくエネルギーをかけていたのは、人事制度の運用、とりわけ評価制度の運用についてだったと思います。

 評価制度の運用で心がけていたことも3つあります。1つ目は「全員の評価シートにすべて目を通し、理解すること」。その上で手を抜いた評価シートがあれば、差し戻しなどをして、内容のレベルアップを奨励していました。2つ目は「組織(支社などの拠点単位)の評価と、1人1人の個人評価とをバランス良く行うこと」、3つ目は「評価会議を重要視する」ということでした。

 今回は3つ目の評価会議にスポットを当てて考察してみたいと思います。

1.評価会議は「考課者トレーニング」である

 評価会議の第1の目的は、評価者間の評価基準のすりあわせの場ということにあります。甘い、辛いの感覚を、評価の根拠を表明しあうことで合わせていきます。

 評価は、日ごとの仕事ぶりの事実に基づいて行う上司の判断であり、あくまでも主観で行われるものです。一次評価者が自分の主観で評価をすることは当然のことです。しかしこの主観は、評価基準というテーマに沿って磨かれていかなくてはなりません。この主観は、評価会議という評価期間ごとの実践の場で磨かれていることが最も実際的なことと言えるのではないかと思います。

2.評価会議は“育成会議”でなければならない。

 しかし一方で、単に評価基準のすり合わせにフォーカスして、評価が甘い、辛いということだけに終始してしまうと、2つの意味で問題が生じてきます。

 1つ目の問題は集団の心理の方向としてどうしても甘さをチェックする方に働き、厳しいチェックを入れることがその場の目的になっていってしまいがちであることです。そのこと自体が悪いわけではないのですが、あくまでも評価の納得性を高めることが第一義的な目的なわけですから、ことさら厳しいことよりもいかに会議の中で情報を多く出し、客観性や納得性を固めるかという方向性を忘れないようにしなくてはなりません。

 2つ目の問題は「評価を決めること」に執心してしまい、1人1人がこの間にどのように成長してきたのか、次の期に何を成長ポイントに取り組むべきかという本質的なテーマが置き去りにされがちであるということです。全体としてかなりのエネルギーがかかることを覚悟して、評価会議であることに加えて、評価者全員が集まって行う“育成会議”だという認識で行う必要があるのです。

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