コラム
» 2011年02月18日 14時43分 公開

想像力を試されるシルク・ドゥ・ソレイユの「ZED」あなたの知らないディズニー駄話(2/2 ページ)

[宮田健,Business Media 誠]
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余韻と余白を大きく残す「ZED」というエンターテイメント

 ZEDの魅力――――それも東京ディズニーランド/シーを超えた魅力とは何でしょうか。それは「余韻と余白を残している」ことでしょう。先に挙げたミスティックリズムはシルク・ドゥ・ソレイユのエンターテイメントに大変よく似ており、おそらく、このショーの表現手法はラスベガスで行われている「O」(オー)を参考にしているのではないかと思います。

 パーク巧者(ディズニー上級者)の多くは、このミスティックリズムを高く評価しています。ですから、そういう方ほどシルク・ドゥ・ソレイユにスッと入っていけるのでは?

 シルク・ドゥ・ソレイユのステージは、ほとんどセリフがありません。サーカスにつきもののピエロたちが登場し、その寸劇からいつの間にか異空間に放り込まれます。そこから先は鍛え上げられた肉体がアクロバティックな演技を通じ、言葉を使わずに何かを伝えてきます。

 目の前で行われていることを言葉にしてしまえば、「ジャグリング」だったり「空中ブランコ」だったり「綱渡り」だったりです。しかし、そこには私たちがイメージするサーカスとはまったく違うエンターテイメントがあります。この点が、シルク・ドゥ・ソレイユの大変大きな特徴であり、そして人に伝えづらいポイントであると思います。体験するしかないのですから。

 だからでしょうか。見終わったあとに「あのシーン、どう感じた?」と家族や同行者に聞きたくてしょうがなくなります。筆者はこの余韻と余白こそが、東京ディズニーリゾートにシルク・ドゥ・ソレイユのショーを持ってきた一番の理由だと思っています。

 ZEDにはしっかりとしたストーリーと、シークエンスごとの意味がきっちり定義されています(これは公式サイトや劇場内で販売されているパンフレットなどに掲載されています)。しかし、劇中でそれは一切言語化されていません。

 パンフレットを買って答え合わせをするのもいいですが、「自分はこう思った」という感動こそが正解だと思います。ここ最近の東京ディズニーリゾートのエンターテイメントにはセリフが多く、説明過多で想像の余地が少ないと感じています。だからこそ、ZEDのようなステージは昔からの東京ディズニーリゾートファンにお勧めできるのです。

 ということは、ZEDを見たあとにコミュニケーションを取るための時間と場所の確保が必須です。東京ディズニーリゾートでは「ZEDに行ってパークにも行こう」というキャンペーンをやっていますが、ZEDの余韻をパークで上書きすることはもったいない。「ZEDを観て、そのあとゆっくりディナーでもどうぞ」というのがよいのではないでしょうか(東京ディズニーリゾートはこの流れのキャンペーンも行っています。抜かりない)。

「ZED」こそがファミリー・エンターテイメントだ!

 ZEDは「大人向け過ぎる」「チケットが高過ぎる」「面白くなさそう」なんて声も聞こえます。しかし、このショーこそ“子供の中にある大人”を刺激するものですし、そのあとのコミュニケーションも含めてシルク・ドゥ・ソレイユのエンターテイメントです。鍛え上げられた体と素晴らしい技術、「人間は美しい!」と素直に感じたのは久しぶりのステージでした。

 ウォルト・ディズニーは、テーマパークを家族で楽しむための「ファミリー・エンターテイメント」として作り上げました。ZEDは舞浜に作られたリゾートの重要なエンターテイメント。この記事がその「最後のピース」を体験するきっかけになれば大変うれしく思います。

ディズニー
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