海外メディアはどう報じているのか? 東日本大震災の衝撃松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年03月15日 07時38分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 筆者がよく読む地方紙『フランクフルター・ルントシャウ』の3月13日付第1面にも震災の写真が掲載された。見出しは「衝撃波」。被災地の津波被害のみならず、日本の受けたショック、そしてドイツと世界が受けた衝撃の意でもある。

 今号は大震災のもたらした衝撃をドイツの視点から緊急報告したい。

大震災を一面で報じる地方紙『フランクフルター・ルントシャウ』(3月13日付)。見出しは「衝撃波」

国際共通語「TSUNAMI」

 津波が堤防を越え街に流れ込む様子、漁船、クルマ、家屋が濁流に流される光景はドイツ人をも震撼(しんかん)させた。また市原のコンビナート火災、さらには福島第1原発1号機、続く3号機の水素爆発の決定的映像など、信じ難い現実にショックを受けているのは日本人だけではない。

 筆者が最初に大震災のニュースに接したのは、ドイツのニュース専門チャンネル「N24」の速報だった。ドイツ時間11日午前8時ごろ、テレビをつけると田畑とビニールハウスを押し流す濁流が映し出されている。最初は何のニュースか分からなかったが、その光景は紛れもなく日本のもの。日本時間の午後4時ごろだから、地震発生から約1時間後のことであり、ドイツメディア、特にテレビの反応は大変早かった。その後も、N24の大震災関連放送はCMと天気予報を除き一切の中断なく3日間以上続いている。これは異例の扱いだ。

 「TSUNAMI」という言葉は2004年のスマトラ島沖大地震で繰り返し報道されたこともあり、ドイツ人にも解説抜きで通じる国際共通語となっている。とはいえ、ほとんどのドイツ人が地震を経験していないので、津波を実感としてとらえられる人はごく少数に限られる。もっとも、日本人であっても真の恐ろしさは「経験者でなければ分からない」と言われるが。

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