「自己紹介」の練り直しで、就活を大逆転しよう吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年03月25日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない"会社の落とし穴"の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 東北地方を中心とした大地震の影響により、新卒の採用試験の日程を遅らせる企業が現れた。ただ、これは就職活動の準備が遅れている学生からすると、対策をするための時間ができたとも言えるかもしれない。

 私は専門学校で大手マスコミに入ろうとする大学生を相手に、エントリや作文などの書き方を教えている。その経験をもとに言えば、新卒の場合は面接やエントリで集中的に問われるのが「自己紹介」と「志望動機」だ。

 この2つのレベルがほかの学生より高いなら、内定になる可能性が高い。だが、毎年、7〜8割の学生が「志望動機」を苦手としている。率直なところ、「志望動機」は“競い合う”というレベルには達していない場合が多い。

 そこで今回は得点源とすべき「自己紹介」について私の考えを述べたい。ここで大きく差をつけることができれば、競争倍率の低い企業なら内定を得る可能性が高くなる。もちろん、学生が殺到する人気企業は、「志望動機」も一定水準に達していないと内定は難しい。

 まず、就職活動における「自己紹介」を会社に効果的に伝えるためには、次のような公式をおさえることが必要だ。

(1)結論(自分はこんな力を持っている)

(2)結論を導いた根拠(エピソード、経験、具体的な事実)

(3)その経験でつかんだこと、学んだこと(1と微妙に重なり合う)

(4)それをこんな具合に生かしていきたいので、貴社に応募した

 まず1だが、ビジネスの現場では結論から書いたり、話をしたりするのがセオリーだ。模擬面接に面接官として立ち会うと、8割ほどの学生が2の「経験」から話す。これは避けた方がいい。いきなり経験を話すと、面接官らは判断がなかなかできない。

 まずは、「結論」として30秒ほどで自分のセールポイントを言いたい。例えば、「私は周りに流されながらも、最後には自分にとって価値のあるものを見つけ、それにまい進することができます」などである。何とか30秒で収めたい。書く時は、1つのセンテンスにしたい。

 「こんな力を持っている」では、例えば「協調性がある」とか「誠実」といったありふれたことを書く人が多いが、これも避けたい。こういう決まり文句を使ってしまうと、イメージが湧いてこない。前述の例で言えば、「周りに流されながらも」とか「最後には自分にとって価値のあるものを見つけ……」というように、経験した者にしか言えないことを語りたい。

 2では1のセールスポイントを導いた根拠である経験を、つまりはエピソードを話すことになる。これは具体的であることが大切。「いつ、どこで、だれが、何を、どうした、なぜ、どのくらい」などを書き、それらに固有名詞や数字を盛り込むと、イメージが湧いてくる。

(例) 

 私は、A大学の経済学部からB大学の法学部に3年次編入をしました。高校の頃からB大学法学部の●●教授のもとで、商法について勉強をしたかったのです。

 その夢が捨てきれずに1〜2年の時、週に3回、渋谷にある編入試験の専門学校「●●ゼミナール」に通いました。そこでは、試験科目である英語や憲法、民法などの文献を90冊ほど読み込み、10枚ほどのレポートを1カ月に1本のペースで書きました。

 周りがサークルなどで遊んでいる中、自分も「こんな勉強はもうやめよう」と何度も思いました。しかし、その思いをこらえ、2年間、1日5時間ほどの勉強を続けました。ついに受験者120人のうちで合格者が5人の枠に入り、合格できました。

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