会社が知りたいのは“あなた”――「志望動機」の書き方教えます吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2011年04月01日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない"会社の落とし穴"の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 大学生の就職活動が後半戦に入った。多くの学生が苦しむのが、「志望動機」を書くことである。私は専門学校でマスコミを志望する学生に、エントリや面接の対策を教えている。1年間で350人ほどのエントリを読むが、そのうちで「なるほど、だからこの会社に入りたいのだな」と納得するのは8〜12人ぐらいだ。

 最も多いパターンは、例えば「人々を和ませる番組を作りたい」などと漠然と書いてあるものだ。「テレビ局のディレクターになりたいのかな」と想像することができるが、そこから先、例えば「なぜTBSに応募したいのか」が分からない。

 私には、TBSとほかの民放の番組の編成方針や報道姿勢などは違うように見える。その違いを踏まえ、「だから、私はTBSに応募した」と書く学生はごく少数である。これでは、内定はなかなか得られないだろう。

 人気企業を狙うならば、前回の時事日想で書き方を紹介した「自己紹介」と同じく、「志望動機」でも高得点を取りたい。競争倍率の低い会社に応募する場合であっても、入社しようとする理由を明確にしておくべきと私は思う。あいまいな考えのままでは、入社後もいい仕事はできないだろう。そこで今回は「志望動機」の書き方について私の考えをのべたい。

 まず、「学生が陥りやすい問題点」が次の3つである。

(1)業界の動向をメインに書く

(2)会社の事業や社風などをメインに書く

(3)会社説明会で見聞きしたことをメインに書く

 私が教えてきた学生の9割以上は、(1)〜(3)を制限字数の8〜9割を使って書いていた。私はこれらを書くことを否定はしない。だが、メインの素材にはすべきでない。仮に600字で書くことを求められているならば、(1)〜(3)を合わせて、せいぜい150字以内に終えたい。(1)と(3)はあえて書く必要もないと思う。

 (1)〜(3)を制限字数すべて使って書いたところで、内容の面でほかの学生と差別化にならない。面接官が知りたいのは、あなたの会社への思いや考え、入社後、何をしようとしているのかといったこと。決して業界や会社の分析を求めているのではない。また、説明会で見聞きした印象や感想を確認したいのでもない。

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