1985年、米国ニューヨーク市のプラザホテルで合意された「プラザ合意」では、当時のドル高を阻止するためにドル売りの協調介入が行われました。しかし、その後のG7は中国為替相場において元の切り上げを渋る中国を意識して、10年以上にわたって協調介入を封印しただけでなく、介入そのものに否定的な立場を示してきました。
2010年9月、日本が2兆円規模の円売り単独介入に踏み切ったことに対し、G7は批判的でした。しかし今回封印を解いた背景には、大震災と原発事故のダブルパンチで窮地に陥った日本経済が、急激な円高によってさらなる打撃を受けることを避けたい日本側の懸命の働きかけがありました。日本は当初、単独介入も視野に入れていましたが、17日早朝の円急騰が投機的な仕掛けであることを強調し、単独介入よりも高い効果が期待できる協調介入にこぎつけました。
G7が協調介入に合意し、各国が日本へ「連帯と協力をする」立場を表明したことによって、介入直後から円は一気に2円超値を下げました。3月31日現在、1ドル82円台で推移しており、当面は急激な円高に歯止めがかかるであろうとの見方が広がっています。しかし余震や原発問題は当面続くことから、円高シナリオがまた復活することも考えられます。
加えて、中東や北アフリカ情勢がドルの売り圧力となる可能性、ポルトガルなど欧州の財政不安から円買い圧力となる可能性など、複数の要因によって円高につながることも考えられます。急激な円高を阻止することは、日本の復興のためには不可欠な要素。ニュースをご覧になる際には、各国の事象が為替レートにどう反映されるのかという観点でご覧になると、関心度が高まるのではないでしょうか。
為替介入:過度な通貨レートの変動を阻止することを目的に、各国の中央銀行などの通貨当局が為替市場において特定の通貨の売買を行うこと。
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