この時期、あなたの職場に中途採用試験を経て入社してきた人がいないだろうか。3〜4月は、中途採用試験を行う会社が年間でもっとも多いと言われている。
2010年12月、転職情報サイトのDODAは「採用担当者のホンネ 〜中途採用の実態調査」を行った。調査対象は、直近1年間で正社員の中途採用活動を行った企業の採用担当者および人事担当者。ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査で、有効回答数は2760件だった。
それによると、調査対象の3割以上の企業が「中途採用を行う時期」として3〜4月を挙げた。そのような企業には、主に次のような特徴があったという。
(1)半期ごとの事業計画に基づき、期の変わり目に必要な人員を募集する企業
(2)新卒社員と同じタイミングで研修や教育を行いたいと考える企業
(3)年度末に退職者や異動者が発生し、人員を確保する動きをとる企業
これらの特徴を見ると、中途採用試験は2つのポイントをおさえて行われていることが分かる。
(1)現場主導
(例えば、営業部、経理部、企画部、工場などの現場の責任者の意思が強い)
(2)現場の事業戦略などにもとづき、採用する人のレベルや人数が決まる
この2つは、新卒の試験ではさほど見られない傾向である。新卒では、大企業はもちろん、中小やベンチャー企業でも人事部や総務部が主導権をとり、「新卒一括採用」として試験を進めていく。この試験をパスしたものが入社し、研修などを終えて、それぞれの部署に配属される。採用試験の段階では、現場の部署の責任者たちの意向があまり反映されない。
一方で、中途採用試験は「即戦力志向」であるので、現場の部署の責任者が人事部よりも強い発言力を持って進めていく傾向がある。例えば、現場で「法人を相手にした営業力を持っていて、年齢は30代前半。数年以内に課長補佐ができ得る人材」という求める人物像が明確になり、それをもとに現場主導の試験が行われる。人事部は試験日を決めたり、関係者への連絡など調整役になる。
時折、このような現場主導型の採用は「最近始まった」と言っているコンサルタントや学者がいるが、それは事実関係として誤りだ。私の経験で言えば、これは1980年代半ばころにすでに見られた。「雇用流動化」はこの時代に大きく進んでおり、「最近」というとらえ方は間違いだ。
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