1946年に製造されたプロトタイプU6は、農業用の駆動装置として使用できることはもちろん、後部には小さな荷台が付き運転席と助手席が並ぶ。農作業と器具・資材の搬送の両方をこなす汎用性は、それまでのトラクターには見られなかったコンセプトだ。
しかしながら、その後の開発の歴史をたどるとウニモグの目指すところが単なる農作業車でなかったことが分かる。1949年から51年まで生産されたウニモグ70.200型は、農作業だけでなくスイス軍でも重用された。ダイムラー傘下に入り、メルセデス・ベンツのエンブレム「三ツ星マーク」を初めて付けたモデルU401(1953年19〜56年)は除雪車として、1956年から約1万8000台生産されたU411タイプは小型のコンクリートミキサー車としても使用されるなど、農作業以外の用途が増えてゆく。
ウニモグの開発が始まった1946年当時、ドイツは連合軍の占領下にあり自動車の開発・生産には許可を必要とした。ドイツが再び軍事大国となることを恐れた連合軍はドイツを農業国として復興させることを意図し、他の名目では新規開発を認めなかったのだ。
人材も技術もあるが自動車を開発できない。そんな状況の中、開発チームは知恵を絞って規制の網を潜り抜けた。
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