ここでSPIDER PROを知らない人のために簡単に補足をしておこう。SPIDER PROは、1週間テレビの全チャンネルで放送された全番組をまるまる録画してしまう製品だ。人から「あの番組が面白かった」という評判を聞いてから、前週の○曜日の○時から放送されていた番組を振り返って見ることもできれば、自分の関心のあるキーワードやタレントが登場する番組やCMを検索して楽しむこともできる。
柴田 SPIDER PROを使い出したら、テレビは実は面白いんだっていうことが理解できたんですよ。これまでは自分の暮らしの時間とテレビの時間が合っていないだけだったって分かったんです。だって、ゴールデンタイムって家にいないじゃないですか。それに深夜の番組は確かに面白そうだけれど、起きていられないし。SPIDERを触りだしてから、何でテレビに自分の人生をあわせなきゃならないのか、何でこういうものがこれまでになかったんだろうって思うようになりました。
――イメージの大転換ですね
柴田 最近、ほかのものって、結構、自分に向いているモノが見つけやすくなってきているんですよ。モノを買うにしても、食べるにしても、自分にピッタリのモノを探せるんです。特に日本では。そんな中にあってテレビ番組だけはほとんどがマス向けのものになっています。それしかなくって、自分向けのモノが選べなかった。それがSPIDERのおかげで、テレビもやっと、自分の好きな番組を選べるようになりました。見たい番組が常にSPIDERの中にあるって凄いことですよね。
――柴田さんでも気に入る番組があったんですね。実際にどんな番組を見るんですか?
柴田 「情熱大陸」「NHKスペシャル」「世界の車窓から」など好きです。いずれも静かめな番組ですね。
――インターネットなどで得られる情報よりも価値がありましたか?
柴田 確かにインターネットの情報にはインターネットの情報の価値があります。でも、テレビって1つひとつの番組にかけている仕事量が凄いから、同じ1時間でも密度が濃いじゃないですか。
有吉 自然系の番組とかも、もの凄く取材とかに手間がかかっていますからね。
柴田 でも、これまではそういった番組があっても、発見することができなかったんですね。SPIDERを使い始めたとき、最初はドラマが毎週録画予約できないといったことに違和感を感じました。ほかの録画機器なら毎週何曜日何時で録画予約をすれば好きなドラマを録り貯めて、1カ月後であっても、いつでも好きなタイミングで見られるのに、SPIDERでは予約をしなくても録画されているが、「保存」しておかないと好きなドラマでも約1週間経つと自動的に消えてしまいますよね。
ただ、その後、考え方が変わってきました。テレビ番組ってよほど気に入ったモノは確かに録り残しておきたいけれど、そうじゃないほとんどの番組は、常にSPIDERの中にたくさん入っているから、その中から自分でチョイスして見た方がおもしろい。実は、その方が正しい見方かなって思い始めたんです。
そういったことが分かってくると、これまで閉じられていたテレビの世界が、何だか急にパっと開かれたような感じすらしてきました(もちろん、SPIDERは毎週放送されるドラマを録画した後に消えないように保存しておくこともできる)。
有吉 愛用者の1人、星野リゾートの星野さんが家族旅行をしたときに、温泉宿でお子さんが「アンパンマン」を見たいって言い出したらしいんですね。家ではSPIDERで、最新の回がいつでも見たいときに見られるのに、何でここでは見られないんだって。SPIDERが当たり前になっている子供には、「見たいときに見られない」理由を説明する方が大変だったっておっしゃっていましたね。
柴田 それって衝撃的な話ですよね。私は2次元で線を描いてから、それを3次元に変えているデザイナーですが、最近の若いデザイナーには、最初から3次元で線を描いちゃう人がいます。印刷だといきなりMacで描いちゃう人もいますよね。まるで、ネイティブに英語が話せる人と勉強して話せるようになる人みたいに全然出発点が違う。SPIDERしか使ってない人からしたら、もうそれなしに戻るっていうことは絶対にできないっていうことですよね。そう考えると、時代は絶対にそっちに向いている気がしてきます。
自分がデザインしているときに、やっぱり、良くないモノはつくりたくないと思っています。正義って反対から見ると不正義だったりするから、どっちが正しいかは難しい問題です。でも、そのモノが登場する前の過去に戻った方が良いものだったり、出てもあまり変わらないモノだったら、デザインしない方が良いんじゃないかと考えているんです。そういう視点でその子の話を聞くと、SPIDERがある方が正解に近いんじゃないかと思いますね。人間らしく生きるっていうことって、もっと自分主体になっていくということのはずだしね。
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