私も質問をしてみた。両親を亡くしたり、行方不明になっている、18歳未満の「震災孤児」のことだ。岩手県などは震災孤児を把握しており、その数字が発表されていたからだ。
「県の調査が発表になったが、市としては、今後どんな対応をするのか?」
市長はこう述べた。「すでに教育委員会で調査している。両親が亡くなったり、もともと母子家庭、父子家庭の親が亡くなった例もある。できるだけご親戚を捜して、身内の方に引きとっていただくことをしている。もし、引き受け手がない場合は、児童相談所や県と相談することになると思う。今後、経済的支援についても話をしていかないといけない。県の考え方は、震災孤児が出ていて、寮を建設したりするというもので、当然、寮費などは支援するということ。家族や友人をなくした子どもの心のケアは、教育委員会とタイアップしていかなければならない」
岩手県では、44人の震災孤児を把握している(4月14日現在)。県は特別支援基金を作ることを発表している。「ふるさと納税」を活用するほか、企業からの寄付を募る。
民間でも支援の輪が広がっている。仙台を拠点とする球団の東北楽天ゴールデンイーグルスも、震災孤児支援として「1勝につき100万円を積み立てる」ことを発表している(参照リンク)。あしなが育英会も、返済の要らない特別一時金(最大40万円)を設けている。
私は、市内の避難所へ向かうことにした。(続く)
→報道されなくなったとき、避難所はどうなるのか――陸前高田市(2)
1969年、栃木県生まれ。フリーライター、ノンフィクション作家。主な取材領域は、生きづらさ、自傷、自殺、援助交際、家出、インターネット・コミュニケーション、少年事件、ネット犯罪など。メール( hampen1017@gmail.com )を通じての相談も受け付けている。
著書に『自殺を防ぐためのいくつかの手がかり』(河出書房新社)、『実録・闇サイト事件簿』(幻冬舎)、『解決!学校クレーム』(河出書房新社)、『学校裏サイト 進化するネットいじめ』(晋遊舎)、『明日、自殺しませんか?』(幻冬舎)、『若者たちはなぜ自殺するのか?』(長崎出版)など。メールマガジン 「悩み、もがき。それでも...」を刊行中。
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