東日本大震災で東北沿岸地域を中心に父親、母親、あるいは両親を亡くした子供たちが多数に上っている。子供たちが厳しい現実に直面する中、ベテランジャーナリストが動いた。朝日新聞の前石巻支局長、高成田享氏(たかなりた・とおる)(現・仙台大学教授、東日本大震災復興構想会議メンバー)だ。
高成田氏は同紙論説委員、テレビ朝日の『ニュースステーション』のキャスターを務めた経歴を持つ著名ジャーナリストであり、今回の震災でも被災地を丹念に取材中だ。また「東日本大震災こども未来基金」を立ち上げ、親を亡くした子供たちへの直接支援に乗り出した。5月15日、高成田氏に話を聞いた。
――基金設立のきっかけは?
震災発生後、宮城県女川町(おながわちょう)の中学校の先生から「助けて!」との声を聞いたことが始まりだった。旧知の教師から「教科書はあるが、学用品がない(流された)。呼びかけてほしい」と訴えられた。たまたまラジオ番組に出演する機会があり、スタッフに物資の提供をお願いしたが、特定のところには無理だと言われた。ただ、その後スタッフたちが個人的に随分と学用品を送ってくれた。私自身も送らなければと考え、実行に移した。
その後、女川町からお礼の電話をいただいた際、震災で親を亡くした子供が多数に上ることを知らされた。今後、子供たちはどうするのかと尋ねると、先方は絶句してしまった。これはなんとかしなければと思い、動き出した。
女川町で両親を亡くした小中学生が6人、片親を亡くした子供の数が46人に上った。私の印象では、片親を失ったケースを含め、被災地全域でこうした子供たちの数が500人前後になるのではないかと推察している。
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