ちきりん:一方、日本の場合は大企業の跡取り息子でもコネで取引先の会社に就職して、身分を隠して一兵卒から少なくとも数年はそこでがんばるケースも多いですよね。武者修行のように。親の会社に戻ってもいきなり役員にはならなかったり、古参の社員に遠慮したり。そうすると結局、古いやり方がなかなか変えられない。
城:日本は少子化で労働人口が減っている。就職先はあるんですが、それはいわゆる“ホワイトカラー”でない。東京のきれいなオフィスで働くのではなく、田舎で介護の仕事だったりする。それを受け入れられるかということなんですよ。
ちきりん:あとは人生観を変えた方がいいですよね。仕事がすべてだと思っていると、仕事で満足できないと人生全体がつらいですから。
私は90年代に米国へ留学したときに「ヒューマン・リソース・マネジメント」という授業を受けて、とても驚いたんです。工場でポカ休(連絡もなく突然休む人)が13%発生している――それをどのようにしたら減らせるか? といったケース問題を使っての授業があって。当時日本は経済の状態が非常によくて工場でも大半が正社員でした。だから日本の工場でポカ休が13%もあるなんてあり得なかった。米国って、こんなことをビジネススクールで学ぶ国なんだ、ということに驚きました。
当時の日本は工場で働く人も終身雇用だから、毎朝きちんと会社に行けば会社が将来の面倒を見てくれた。しかし当時でも米国の工場で働いている人は時給●●ドルといった労働条件で働いている。逆にこれからの日本は正社員だけの工場は少なくなって、そうなれば働き方の価値観も変わってくるのではないでしょうか。米国のように。
あと、単なるずる休みとしてのポカ休ではなく、例えば「今日は奥さんが風邪をひいたので、子どもの世話をするために仕事を休む」という人が増えていくかもしれない。その一方で、正社員の人はポカ休マネジメントを学び始める必要がでるのかも。そうすれば、非正規雇用の人の方が自分の趣味や家族を優先する生活を手にし、経済的には恵まれなくても幸せになれるのかもしれません。
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