『ブラック・スワン』はざっくりいうと、お固い優等生タイプのバレリーナ、ニナが「白鳥の湖」の主役の座を射止めるんだけど、黒鳥を踊るにはいいコすぎてうまくいかず「そんな、でもアタシにどうしろと?」っていうプレッシャーの中コワイ妄想に悩まされたりしながらも運命の舞台の幕が開く、っていう話。
ナタリー・ポートマンがオスカー主演女優賞受賞で話題のこの映画、一分の隙もない緊張感あふれるサイコサスペンスで「これ脚本書いたの山岸凉子でしょ?」っていうくらい山岸先生の漫画っぽい。完璧な役作りと多大なプレッシャーの中で狂気に陥っていくニナを取り巻く人物の中で、ラスボスはニナのママ。自身もバレリーナだった母親が娘に向ける異常な愛憎が、2人きりの生活空間に凝縮されていて「逃げて〜!」って言いたくなる。
さほどエロスを醸してないタイプのナタリー・ポートマンがエロくさいシーンにチャレンジしているところも見どころ。『レオン』のマチルダちゃんがあんなことに、とドキドキします。たんすの角に足の小指をぶつけた時のようなイタいシーンが不意打ちであるので、そういうのが苦手な方はご注意ください。
「白鳥の湖」で主役に抜擢されたニナは、白鳥を踊るには文句のない清純で可憐な女性。自身もバレリーナだった母親の溺愛とサポートを受け、バレエ一筋に生きて来たニナには、王子を誘惑する黒鳥オディールの魔性が表現できない。そんなニナを夜の街に誘い出すリリー、そこで初めて羽目を外したニナは自分を解き放ち、リリーと悦楽の一夜を過ごす。翌日、遅刻したニナは妖艶で黒鳥のイメージにぴったりのリリーがニナの代役に指名されて彼女のパートを踊っているのを見る。昨夜のことを問いただすとリリーは「あなたとは寝ていない」というのだった。役を取られるのではないかと危惧するニナは、だんだんと現実と妄想の区別が曖昧になっていく。
映画好きが高じて、コラムを書いたりもするイラストレーター。『WOWOWマガジン』『問題小説』『てぃんくる』などでイラストコラムを執筆。『Tokai Walker』の金子裕子さんのコラム「セレブ診療所」にコマ漫画を付けている。過去には『DVD&ビデオでーた』でビデオレビューのイラストコラム、『DVDでーた』で記者会見をレポするコラム『現場から櫻井輪子でした』を連載。
著書に『「へのへのもへじ」から始める 世界一カンタン! イラスト練習帳』がある。公式サイト「SakuraiWako'sめカラうりぼう」。
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