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» 2011年06月03日 13時00分 公開

ほぼ全文公開! 乙武洋匡&斉藤徹が語る映画『ソーシャル・ネットワーク』(4/5 ページ)

[堀内彰宏,Business Media 誠]

Twitterの乙武さんはキャラが違う?

吉岡 少し話が戻りますが、乙武さんのTwitterのフォロワーは何人ですか。

乙武 もうすぐ27万人くらいです。

吉岡 Twitterを使うときの、乙武さんならではのポリシーはありますか。

乙武 僕はみなさんが自虐ギャグと言ってくださるようなことをバンバンつぶやいてしまうんです。例えば、今日も名古屋に日帰りで行っていたのですが、フォロワーの人が「ぜひ手羽先で有名な世界の山ちゃんに行ってみてください」と書いてくださったんですね。

 僕の手はこういう風な形になっているのですが(カメラに手を見せる)、2ちゃんねるの人がこの手について「手羽先だ」とよく表現してくださるんですね。「そうだ」と思って、「手羽先のような短い腕で有名な東京の乙ちゃんはこれから仕事があるので帰らなければいけません」みたいなことをつぶやきました(笑)。

行きたい!…けど、手羽先のような短い腕で有名な「東京の乙ちゃん」は、残念ながらトンボ返りなのです(>_<) RT @you7030: ようこそ名古屋へ!金山方面なら手羽先で有名な「世界の山ちゃん」へ是非!less than a minute ago via モバツイ / www.movatwi.jp Favorite Retweet Reply

 僕はもともと、「障害というものがもっとフランクに語られるようになったらいいな」と思っています。例えば、お笑い芸人が“デブ、チビ、ハゲ”とかをネタに笑いをとったりするじゃないですか。でも、障害はみなさん凍りつくんですよ。「そんなことやっちゃっていいんですか」みたいな。「そうじゃなくて、それも笑ってよ。それが普通に笑えるような社会が本当のバリアフリーなのかな」と思っています。

 ただそう思っていても、今までテレビや雑誌のインタビューを受けた時には、そんなコメントは取り上げてもらえないわけですよ。求められていないので。Facebookもそうだとは思うのですが、自分発信のTwitterは個人放送局のような意味合いが強いと思うんですね。「誰かに編集されることなく、自分の意図を純度100%で反映できるメディアだ」と僕は思っています。そういう意味では、もちろん真面目なことを語ることもあれば、そうやってくだらないことを言ってみなさんに笑っていただきながら障害について考えてもらうという機会も自分で意図して発信していけるのが、僕にとってはすごくありがたいと思っていますね。

 「Twitterをやって、乙武さんキャラ変わりましたね」とよく言われます。でも、僕のキャラが変わったわけではなくて、あえて取り上げてもらえなかった部分を自分で発信できるようになったので、「これで左から右まで100%、僕を表現できるようになったかな」というイメージなんです。

吉岡 「ああそうか」と納得した何かが今ありました。とはいってもネットとの付き合い方には難しいところがあると思います。『ソーシャル・ネットワーク』でもマークがブログでまずい日記を書いたことがきっかけで、悪い立場になったという場面がありました。最近の小学生は結構ネットを使っていると思いますが、彼らのネットリテラシーっていかがなんでしょう。

乙武 僕は小学校3、4年生の担任だったので、家に帰ってインターネットするという習慣はまだそんなになかったですね。ただ、5、6年生になってくると、結構増えてきますね。僕も詳しくその子たちから聞かなかったので分からないのですが、アメーバピグのようにキャラクターを使って、どこかに集まって語り合うみたいなイメージで外の世界と交流する子は何人かいましたね。

 「小学校で教員をやっていた」と言うと、よく聞かれるんです。「何歳くらいからケータイを持たせていいものですか?」とか「インターネットは中学生になってからですか?」とか。

 僕は年齢の問題ではなくて、「何ができるようになったらOKになるかということを考えるべき」と思っています。まず、1つは面と向かってのコミュニケーションがちゃんと図れるのかということ。ネットでは相手の表情が見えない、声のトーンも分からない中でのコミュニケーションになります。そのため、普段のコミュニケーションがうまく図れていなければ、さらに難易度が上がるコミュニケーションがうまくできるはずはないですよね。

 もう1つは、家庭内で決めたルールが守れるのかということだと思います。「PCを使ってもいいけど、親が見ている前じゃないとダメだよ」とか「1日30分までにしようよ」とか、そういうことがきちんと守れることが必須条件かなと思うんですよね。

 はるかぜちゃん(@harukazechan)というTwitterを使いこなす小学生のタレントがいて、最近彼女としょっちゅうやり取りをさせてもらっています。彼女はその辺の大人よりよっぽどしっかりしていますし、考え方もめちゃめちゃクリアだし、頭いいなあと思いますね。だから、「小学生はTwitterをやるべきではない」とか「小学生にネットをやらせるな」とひとくくりに言うのは間違いだなというのを彼女との交流を通じて、痛切に感じましたね。

斉藤 生まれた時からインターネットやケータイがあって、それを空気を吸うように使えるデジタルネイティブ世代の人たちは、それ以前の僕たちとは大分感覚が違うんですよね。

 僕たちの世代は、こういうことは言っていいのか、言っちゃいけないのか、頭で考えてコントロールしようとします。でも今は口コミとかコントロールできない透明な世界になっていて、それが当たり前のように肌感覚で分かっている若い人たちはあまり考えなくても、無意識に近い感じでそういうものを利用する能力を持っているんですよね。小さなころから学校裏サイトとかでいろいろと痛い思いもして、「こういうことをすると炎上しちゃうんだ」とか「こういうことをするとみんなと仲良くなれるんだ」みたいな強烈な経験をしているので。

 それを玉置沙由里さんという女性ブロガーは“露出リテラシー(参照リンク)”と呼んでいます。そういう露出社会の中で、大人のように「これは言っていいのか悪いのか」とか考えなくても、デジタルネイティブは無意識でできちゃうみたいな傾向があると思いますね。

吉岡 『ソーシャル・ネットワーク』の話に戻ると、一介の大学生が1つのサービスを大成功に導くまでという青春映画のような描き方をしていたと思うのですが、その割にはディテールをはっきり描いていたりしました。「サーバの増強をしないと」みたいな話や、書いているプログラムも多分嘘じゃないんだろうなと思いながら見ていました。コンピュータに詳しい人だとニヤッというポイントがあったかなと思うのですがいかがでしたか?

斉藤 技術者を卒業してもう20年、COBOLのことだったら分かるのですが(笑)。技術的なところはちょっと見ていなかったのですが、技術者の特性はうまくつかんでいますよね。エスタブリッシュなタイプの人と合わないんですよ。

 西海岸に活動の中心を移した時に、プールで遊んでいるうちに煙突を壊して、その中の部屋でショーンとパーっと盛り上がっていましたが、ああいうのは新しいベンチャーの空気ですよね。あそこにエスタブリッシュな感じのエドゥアルドみたいなのが入ると、うまくいかないんですよね。

吉岡 では最後に、『ソーシャル・ネットワーク』はどんな人にお勧めですかとお二人にうかがってもいいですか?

乙武 斉藤さんのようにFacebookなどネットの世界に詳しい人が見ても楽しめる一方、僕のようにネットに詳しくもない、Facebookをやってもいない人間が見ても楽しめたんですね。仲間内で始めた小さなことがどんどん広がって、加速していくというのを、観客として見させてもらえるワクワク感というものもあったからです。

 もう1つ、「自分とは異なる価値観に対して、どれだけ許容度があるかということを図るバロメーターにもなる映画なのかな」とも思っています。先ほどお話ししたように、協調性を求められる日本人にはマークのような価値観を持った人は少ない、少ないどころか対極だと感じる人の方が多いと思います。

 そんな中で「こいつ何なの?」と毛嫌いしてしまうのか、「ああこういう考え方、生き方もあるんだ」と思えるかというのは、異なる価値観に対する許容度がどれくらいあるかを図るための映画にもなるのかなと思いながら見ていましたね。

斉藤 僕は起業家として20年くらいやってきているので、どうしてもビジネスを起こす人間の物語として見てしまうのですが、20年前だと自分の創造したものが、Facebookのように瞬間的に世界中に広がる可能性って皆無だったんですね。インターネットも、ケータイも普及していなかったので。

 特に若い人たちにとって、今のそんな世の中はチャンスだし、ぜひそのチャンスをつかんでほしいなと思います。最近、ループスで行っているUstream番組でもソーシャルサービスを作っている大学生などの若者を取り上げているのですが、彼らは最初から日本語ではなくて、英語で作っているんですよ。僕たちと発想が違って、“日本発世界”でなくて、最初から世界なんです。まさにそういう人たち、小学生でも中学生でも高校生でも、何か自分の夢にチャレンジしたいと思っている人たちに見てもらいたいですよね。

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