民主党は「政治主導」という、“穴”に落ちたのだ藤田正美の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年06月13日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

国債が売りたたかれるかも

 ギリシャをはじめ「ソブリンリスク(国家の債務問題)」はいよいよ厳しくなっている。日本の国債もさらに格下げされる方向にある。もし国債の利回りを引き上げる(国債の相場を下げる)ように市場が動けば、国債を大量に保有している金融機関は巨額の損失を被る。地銀全体では利回りが1%上昇すれば3兆円近い評価損が出るとも言われている。

 そうなったら金融機関は雪崩をうって国債の売却に走るだろうから、相場はさらに下がり、損失はさらに膨らむ。今は、海外ファンドも日本の国債を買っているからいいようなものの、いったん売りに回られたら、その勢いをとどめることができるのかどうか、あまり考えたくない。

 それに最近きな臭いのが南シナ海だ。中国とベトナムの海洋資源をめぐる対立、中国とフィリピンの島の領有権をめぐる対立などが目立っている。中国は南シナ海を核心的利益と位置付け、シーレーンと海洋資源の確保を重要政策とした。この南シナ海は本来、日本にとっても生命線だ(だからこそ太平洋戦争で日本は「南方進出」した)。

 福島第1原発の事故で原発政策の転換を余儀なくされている日本にとって、この南シナ海の重要性はますます高まっている(もちろんインド洋も同じように重要だが、中国がインド洋まで足を伸ばすのにはもうちょっと時間がかかるだろう)。

 こうした外部での動きに、日本はまったくと言っていいほど対応できていない。税と社会保障の一体改革でも、本来は財政の基礎的収支をどうバランスさせるかという議論もなければならないと思うが、社会保障を削減することへの反発を恐れて、その部分はほとんど手つかずになりそうだ。これでもし日本の経常収支が赤字になり、自分で財政の穴を埋められないと思われたときには、外国ファンドによって国債が売りたたかれることは間違いない。

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