日本のベンチャーを“世界”のベンチャーへ――川鍋仁氏世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/3 ページ)

» 2011年06月14日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

――現在の仕事内容と魅力を教えてください。また、プラグアンドプレイテックセンターの魅力や特徴をご説明ください。

川鍋 サンブリッジの米国での主たる業務はベンチャーキャピタルなので、アナリストをしています。しかし、一昨年から、日本のベンチャーの海外展開の支援と、米国で起業する日本人の支援を始めています。

 また、それらを加速させるために、以前日本(渋谷のマークシティ)で行っていたSunBridge Venture Habitat(インキュベーション事業)を、プラグアンドプレイテックセンターのJapan Pavilionとして再オープンし、名前も新たに「Global Venture Habitat」として、活動を本格化しています。

 プラグアンドプレイテックセンターは、サンブリッジを含め、200社以上の企業が入居しているインキュベーションセンターです。

 ここの最大の魅力はオープンなオフィス空間によって感じられるエネルギー、シリコンバレーとそれ以外から集まってくる投資家、起業家、企業などからなるネットワーク、そして飽きることを許さないかのようなイベントの数々です。「ここにいるだけで小さなシリコンバレーを体感できる」といっても過言ではありません。サンブリッジは、この環境を最大限に生かせるように、Japan Pavilionをこの中に作ったのです。

 サンブリッジのGlobal Venture Habitatは、日本のベンチャー企業が日本だけでなく、グローバルに活躍できるよう、最大限のサポートをします。そのため当然、我々自身がビジネス、とりわけ米国および世界のIT業界とその事業に強くなければなりません。その点では、アレン・マイナーや私自身の経験が最大限に生かされています。

 自分の経験で人の役に立つ機会を作り出せるのは、とてもうれしいことです。そして、成長していく日本のベンチャー企業と一緒に私もさらに成長したいと思っています(この歳でも)。

――今、注目している業界やサービスは何ですか?

川鍋 ベンチャーキャピタルということで、今は「cleantech(環境ビジネス)」と言いたいところなのですが、餅は餅屋ということで、最も興味があることはSaaS型(クラウド)サービスの大企業への浸透具合です。必ずどこかでブレイクスルーが起きます。そんなに先の話ではないと思います。

――海外勤務経験が豊富な川鍋さんですが、海外での一番の困難は何でしたか?

川鍋 海外という意味では、やっぱりビザでしょうね。リーマンショックの時には、ビザをスポンサーしてくれる会社が激減したので、シリコンバレーの人口も相当減りました。

 困難を乗り越える方法は「人事を尽くして天命を待つ」。これだけです。天命とは、今の会社でこういう仕事をすることだったようです。今はグリーンカード(米国の永住権)もあるので、さらなる挑戦ができるようになりました(笑)。

――機会があれば働いてみたい場所(国・都市)はありますか? あれば理由も教えて下さい。

川鍋 日本でも欧州でも米国でも働いたので、特にありません。ただ、働かなくなったらモナコに住みたいです。

――今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。

川鍋 日本のベンチャー企業を、世界のベンチャー企業にすることです。特に、日本のソフトウエアやインターネットサービスが世界で有名になる姿を死ぬまでに一度は見たいと思っています。

――最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。

川鍋 考えることはとても良いことです。考えた上で、自分なりの結論を出し、そして、必ず実行することが大事。「習うより慣れろ」ということで、実践あるのみです。

 試行錯誤は必ずありますが、自分で決めてやったことはダメでも納得できるでしょう。ダメなことがたくさんあっても、経験を積めば、道は開けると思います。

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