コラム
» 2011年06月17日 10時00分 公開

震災を教訓にと言うけれど……自動車部品の共通化は国主導で進めるべきか(2/2 ページ)

[中ノ森清訓,INSIGHT NOW!]
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すり合わせ型か組み合わせ型かは個々の企業に選択肢を委ねるべき

 こうした話が出てくるのは、経済産業省が電気自動車へのシフトが進むと自動車産業のモノづくりがすり合わせ型から組み合わせ型に変わっていくと見すえているからかもしれない。

 モーターを中心とした電気制御で動く電気自動車は、ガソリン自動車の機械制御に比べ、部品点数が少なく、組み立ても容易で、すり合わせ要素が大きく減るとみられている。

 加えて、事業の価値の源泉が、製造プロセスから製品を生み出すイノベーションと、マーケティング、販売プロセス、アフターサービスといった顧客との関係作りのプロセスにシフトしている。

 それでも、すり合わせ型か組み合わせ型かというモノづくりのコンセプトは、事業や企業の根幹だ。それによって、企業の生き方、能力の構築の仕方は大きく変わってくる。企業経営者としては、こんな大事な話を、たとえ大得意先であったとしても、第三者が決めるというのは、納得いかない話だ。

 自動車部品の共通化は、部品・素材メーカーだけでなく、自動車メーカーに対してもすり合わせ型でいくのか組み合わせ型でいくのかという同じ問いを突きつける。そのため、研究会に参加している自動車メーカーにも、経産省の構想には慎重論がある。

 マクロの視点では、コスト低減、効率性、災害にも強い柔らかいサプライチェーンというメリットがある部品の共通化は、当然の帰結なのかもしれない。しかし、1つの産業の中で、個々の企業の生き方はさまざまあって良いはずだ。また、現在のグローバル競争を勝ち抜けるのは国策企業なのか、それとも自らの力で逆境を切り開いていく企業なのか、一体どちらなのだろう。

 圧倒的なコスト競争力と供給力で血みどろの戦いを勝ち抜くグローバルスケール戦略も、たとえ一国での市場が小さくとも自社にしか提供できないものを磨き、薄く広く市場を取っていくグローバルニッチ戦略も、これからの市場の生き残り戦略としてどちらもありうる。

 問題は、この選択は相容れないものなので、どちらかを選ばなければならないことだが、その選択は、自分たちが目指していること、能力、足りないところを熟知している企業そのものが行うのが、正しい解を最も導きやすいし、自らの死活問題だけに納得感もある。(中ノ森清訓)

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