30代までの課題、若手は仕事の“型”を身に付けるべき吉田典史の時事日想(3/3 ページ)

» 2011年07月01日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]
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ベンチャー企業は本当に実力主義?

 社員数が100人以下や、創業間もない会社の評価基準を見ると、「業績」が最も高いことが多い。売り上げが10億円に満たないベンチャー企業の評価を見ると、「業績」が8割近くになっている場合もある。会社の業績が不安定であり、時間をかけて人を育成することができない。そこで短期決戦型で人を評価せざるを得ないのである。

 これは一見すると「実力主義」と思えるが、その認識は誤りだ。このような会社は就業規則すら浸透していない傾向がある。人事評価の基準はあいまいであり、評価する上司の側もキャリアが浅く、人を見取ることが下手だ。「実力主義」うんぬんを論じる以前の段階とも言える。

 そもそも入社し、わずか数年で達成できる数字には限界がある。数年で大きな額の仕事を1人でクリアできるならば、それは多くの人が簡単にできる単純作業である可能性が高い。あるいは、社員教育が不十分で、社員の底上げができていないことも意味している。離職率は高く、社員間での情報や目標の共有などはできていないと思われる。売り上げの割に利益はそれほど出ていないだろう。

 それならば、この世代を評価する際には「行動」や「プロセス」にこそ重きを置き、きちんとした仕事への姿勢や行動を養わせるほうが意味がある、このような「型」は冒頭で述べた通り、20代の時にしか身に付けることができないものが多い。必要以上に「業績」の比率を高く評価した結果、20代の社員らが同世代の中でのささやかな競争による微々たる結果に一喜一憂し、敗北感に陥ったりシラケてしまうようでは意味がない。

 この「行動評価」は、評価することが難しいと言われる。評価の基準が得てしてあいまいになるからだ。例えば、報告について言えば、人事部が作るガイドライン(指針)を踏まえて報告をしても、上司がそれを理解していないこともある。つまり、部下はガイドライン通りに行動を取るのだが、上司ができていないのだ。ところが、上司は自分はきちんと評価していると思い込んでいる。笑える話だが、決して少なくない。

 それでも私は20代の時には「行動」や「プロセス」に重きを置き、多くの「型」を自分のものにすることが大切だと思う。そして、本物の力を養うべきだ。30歳を超えても仕事の「型」を心得ていないために、後輩からも軽くあしらわれ、不満だらけの日々を送る人が多い。20代の時期しか、できないことは間違いなくある。

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