先週のランキングはトップこそちきりんさんの記事「日本に起業家が少ない理由」だったが、原発関連の記事が上位を占めた。7月1日からは衆議院議員の原口一博氏と中部大学の武田邦彦教授の対談も始まっているのでぜひチェックしていただきたい。
そんな原発事故の影響で心配されているのが電力不足。本格的な夏場を迎え、ピーク時電力使用量も増加してきた。6月29日には東京で真夏日となったこともあり、14時に4570万キロワット(東京電力管内)と震災後最大の数値を記録した。
今後はどうなっていくのか。気象庁の1カ月予報を見ると、東北や関東甲信地区の7月2日〜8月1日の平均気温は平年より高くなる確率が50%、平年並みの確率が30%、平年より低くなる確率が20%と、昨年に続いて猛暑となりそうな気配である。
しかし問題は、気温が上がると、ピーク時電力使用量がどのくらい増加するかということだろう。これについて、東京大学の早野龍五教授が“参考出品”と前置きをしながらも興味深いデータを示している。
それは「東京の最高気温」と「東京電力管内のピーク時電力使用量」に相関関係があるという仮説。26.3度(±0.58度)まではピーク時電力使用量は3390万キロワット(±32万キロワット)付近で一定だが、それを上回ると1度ごとに135万キロワット(±13万キロワット)増えていくというものである。
ちなみに7月6日時点の東京電力の供給可能最大電力は5100万キロワット。早野教授のデータを±を考慮せずに当てはめると、東京の最高気温が38.97度を超えると、ピーク時電力使用量が5100万キロワットを上回ることになる。
もちろんこれにブレが加わる上に、東京以外で非常に暑くなってピーク時電力使用量が理論値より増える可能性もある。そして、そもそも計画停電は使用率が100%になる前に決められるものである。ただ、現在の供給力だと「東京の最高気温が38度を超えると計画停電の可能性が高まる」ということは何となく推測できるのではないだろうか。朝鮮半島ではないが38度線が電力供給の生命線となるのである。
では、東京の最高気温が38度を超える日はどのくらいの確率で出現するのか。気象庁のデータを見ると、記録が残っている過去136年間で東京の最高気温が38度を超えた日はわずか8日。ただ、2000年代に入ってから3日と若干多く発生しているのが気になるところである。「一番暑いのは8月じゃないの?」と思う人もいるだろうが、1997年7月5日に37.7度を記録していたりするので油断はできない。
東京電力では、7月末には供給可能最大電力を5680万キロワットまで積み増す予定としている。早野教授のデータから計算すると、ピーク時電力使用量が5680万キロワットを上回るためには、東京の最高気温が43.26度を超える必要がある。東京の観測史上最高気温は2004年7月20日に記録した39.5度なので、ある程度の積み増しが見込める7月半ばまでを乗り切れば何とか大丈夫なのではないかという計算になる(ただ、東北電力管内への融通が最大140万キロワットある)。
東京電力管内でもあと2週間ほど踏ん張れば、ある程度余裕ができる。そう考えて、ピーク時電力使用量の削減に協力したいものである。
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