格下げ、デフォルト懸念が強まって大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年07月28日 08時42分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>10047.19▼50.53

<TOPIX>859.11▼7.09

<NYダウ>12302.55▼198.75

<NASDAQ>2764.79▼75.17

<NY為替>77.96△0.06

芳しくない決算や経済指標に加え、債務上限問題の進展がなく、格下げ、デフォルト懸念が強まって大幅下落

 ギリシャ国債がさらに格下げとなったことや朝方発表された耐久財受注が予想に反して前月比で減少したこと、芳しくない決算が相次いだことなどから売りが進み、債務上限の問題も本当にデフォルトが起こるという懸念よりも格下げ懸念などがあって大きく売られました。午後に発表されたベージュブックでも各地での成長鈍化が指摘されるなど芳しい内容ではなく、さらに売り急ぐ動きとなりました。また、8月2以降借り入れが出来なくなるとの懸念が強まり、最後まで売りが止まりませんでした。

 好調な決算を発表する企業もみられ、市場でいわれるほど経済情勢が悪いという気もしないのですが、債務上限問題の期日が迫る中でちょっとした悪材料に敏感に反応してしまうということなのでしょう。また、何が起こるかわからないから今のうちに売っておこうというような売り方も出ているのだと思われ、ちょっとしたパニック的な売りになったものと思います。ただ、新興国が牽引する形で米国企業業績もしっかりと回復しており、債務上限問題が決着すれば信用収縮の動きにならない限り、再度見直し買いも入ると思います。

 個別には好調な決算を発表したボーイングが堅調、アマゾン・ドットコムは大幅高となりました。ただ、地合いの悪さから増収増益決算を発表したダウ・ケミカルが軟調、予想を上回る決算を発表したコノコフィリップスも買い先行となった後軟調となりました。テレビ用液晶ガラスの伸び悩みを決算発表資料で指摘したコーニングは決算そのものよりも、先行き懸念が強まって大幅下落となりました。予想を下回る決算を発表したジュニパー・ネットワークスは急落、連れてシスコシステムズなども軟調となりました。受注の伸びが鈍化していると発表したエマソン・エレクトリックも急落するなど電機株に大きく売られるものが目立ちました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安やインドの利上げに対する懸念などから売りが先行、軟調な始まりとなりました。それでも決定的な売り材料があったというわけでもなく、日米共に本格化する決算動向は決して悪いということでもなく売り急ぐ動きはありませんでした。ただ、底堅さが確認されても逆に買戻しを急ぐ動きもなく、好決算に反応して買い上がるには外部環境が悪く、戻りも限定的、指数は小動きとなりました。外国人も買い越しと伝えられて、円高ということも「日本買い」の連想で売り難いという面もあったものと思います。

 米国株が大幅下落となったことやユーロが軟調となったことなどから売り先行となりそうです。昨日までは外部環境の悪い中で、足元の好調な決算などに反応して上下動き難く、気迷い気分も強かったのですが、いったん下値を試すような軟調な展開となりそうです。米国市場で電機株に大きく売られるものが目立ち、ハイテク銘柄の売りが懸念されます。為替の影響が薄れていることや大震災の影響からのV字の回復も見られることから好調な決算を発表した銘柄などは底堅いのでしょうが、決算発表に反応して買われた銘柄などは手仕舞い売りも嵩むのだと思います。好調な業績を示した銘柄の底堅さが期待されます。

 日経平均は10000円水準をあっさりと割り込みそうです。決算動向に反応して底堅さも期待されますが再度下値の節目である9800円〜900円水準を試す場面もあるのかもしれません。ただ、外部環境の悪化と足元の好決算とのせめぎ合いということで底堅さは見られるものと思います。ここで大きくトレンドが出るというよりはまだまだもみ合いの中での動きということなのだと思います。これで10000円水準が上値となることもなく、9800円〜900円水準が下値、10200円〜300円水準が上値という状況はかわらないと思います。

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